2. 国民年金・厚生年金、今の平均受給額はいくら?

では、現在年金を受け取っている先輩世代は、毎月いくらくらい受け取っているのでしょうか。厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに見てみましょう。

令和6年度末時点の「平均年金月額」は以下の通りです。

  • 厚生年金保険(第1号):15万1142円
    (※主に民間の会社員として働いた期間がある方の平均)
  • 国民年金の老齢年金:5万9431円
    (※自営業やフリーランス、専業主婦・主夫の方などを含めた平均)

数字だけを単純に比較すると、月額で約9万1000円の差があります。ただし、ここで一つ注意点があります。厚生年金の「15万1142円」の中には、原則すべての人が受け取るベース部分である「老齢基礎年金」の額も含まれています。

また、資料に記載されている国民年金の「5万9431円」という金額は、「生涯、国民年金にしか加入していなかった人」だけの平均ではありません。過去に会社員として働いた期間があり、基礎年金に厚生年金を上乗せして受け取っている人もデータに含まれています。

実際の年金額は、加入していた期間や現役時代のお給料などによって一人ひとり大きく異なりますので、あくまで「一つの目安」として捉えておきましょう。

2.1 住む地域で約4万円の差? 都道府県別の年金事情

都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額2/2

都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

年金の受給額を都道府県別に見ると、実は地域によっても差があることが分かります。

厚生年金保険(第1号)の平均年金月額を都道府県別に見ると、最も高いのは神奈川県の17万457円、最も低いのは青森県の12万8129円となっています。一方で国民年金を見ると、最も高いのは富山県で6万2989円、最も低いのは沖縄県で5万4217円でした。

厚生年金において地域間で最大4万円以上の差が出ているのは、現役時代の「平均給与水準」や、地域ごとの「産業構造(会社員の多さなど)」が影響しているためです。

3. 将来の不安を安心に変える!今すぐできる「3つのステップ」

今回は、最新の年金決算データをもとに国民年金・厚生年金の平均受給額の実態と、将来に向けて今からできる備えについて解説しました。

公的年金の積立金は過去最高水準となっていますが、実際の受給額は加入歴や収入、地域などによって大きく異なります。厚生年金の平均受給額は15万1142円、国民年金は5万9431円であり、都道府県によっても差がみられます。

ここまでデータを見て、「自分の年金だけで生活できるかな?」と不安に感じた方もいるかもしれません。しかし、今のうちから少しずつ準備を始めれば、将来の選択肢は確実に広がります。

最後に、筆者であるファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、今日からできる「3つのステップ」をお伝えします。

3.1 ステップ1:「ねんきん定期便」で現在地を知る

まずは、毎年お誕生月に届く「ねんきん定期便」を確認しましょう。50歳未満の方には「これまでの加入実績に応じた年金額」が、50歳以上の方には「今の働き方を60歳まで続けた場合の見込額」が記載されています。スマートフォンの「ねんきんネット」なら、いつでも最新のシミュレーションが可能です。

3.2 ステップ2:税制優遇制度(NISA・iDeCo)を味方につける

投資で得た利益が非課税(税金がかからない仕組み)になる「NISA(ニーサ)」や、掛け金が全額所得控除(税金が安くなる仕組み)となる「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」を少額から始めてみましょう。月々数千円からでも、長期で続けることで将来の大きな助けになります。

3.3 ステップ3:自分らしいペースで「長く働くこと」を考える

公的年金には、受け取り開始年齢を原則の65歳から遅らせる「繰下げ受給」という制度があります。1ヶ月遅らせるごとに受給額が「0.7%」増額され、最大75歳まで遅らせると「84%」も増えます。完全にリタイアするのではなく、ご自身の体調に合わせてパートなどで無理なく働きながら、年金の受け取りを少し遅らせることも立派な老後対策です。

社会の変化とともに、私たちの生き方や働き方も多様化しています。ニュースの数字にただ不安を抱くのではなく、「自分らしい暮らし」を守るための準備を、できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美