「毎日頑張って働いているのに、なかなかお金が貯まらない」。子育て世代からは、こうした声がよく聞かれます。

日々の生活費に加えて教育費がかさみ、将来に向けた老後資金への不安を抱える方も少なくありません。実際のところ、世帯の金融資産はどれくらいあるのが標準的なのでしょうか。年収別・年代別のデータで実態を確認したうえで、実際の相談事例をもとに、資産形成を前に進めるためのヒントを探ります。

ココがポイント
  • 世帯年収が上がるほど金融資産保有額は増えるが、資産に占める有価証券(債券・株式・投資信託)の割合は年収帯を問わずおおむね20%台で推移している
  • 二人以上世帯の40代の金融資産保有額は平均1486万円・中央値500万円で、教育費や住宅費の負担が重なりやすい時期でもある
  • 「貯まらない」と感じる背景には保険への偏りなどもあり、資産の役割を整理し直すことで資産形成を前に進められる場合がある

なお、データ部分などの一部は以下の記事から引用しています。

【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解
【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解

1. 世帯年収別に見る「金融資産保有額」とその内訳

まずは、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和7年)」をもとに、世帯年収ごとの金融資産の内訳を確認します。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金や不動産、金などの残高は含まれていません。

種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)1/3

種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」

《年間収入別》金融資産保有額

全国:1940万円

  • 収入はない:634万円
  • 300万円未満:858万円
  • 300~500万円未満:1431万円
  • 500~750万円未満:1755万円
  • 750~1000万円未満:2222万円
  • 1000~1200万円未満:2725万円
  • 1200万円以上:5635万円

《年間収入別》預貯金(運用または将来の備え)

全国:745万円

  • 収入はない:385万円
  • 300万円未満:368万円
  • 300~500万円未満:631万円
  • 500~750万円未満:693万円
  • 750~1000万円未満:908万円
  • 1000~1200万円未満:1028万円
  • 1200万円以上:1649万円

《年間収入別》債券

全国:78万円

  • 収入はない:7万円
  • 300万円未満:36万円
  • 300~500万円未満:54万円
  • 500~750万円未満:58万円
  • 750~1000万円未満:67万円
  • 1000~1200万円未満:91万円
  • 1200万円以上:343万円

《年間収入別》株式

全国:433万円

  • 収入はない:33万円
  • 300万円未満:191万円
  • 300~500万円未満:235万円
  • 500~750万円未満:365万円
  • 750~1000万円未満:434万円
  • 1000~1200万円未満:572万円
  • 1200万円以上:1792万円

《年間収入別》投資信託

全国:216万円

  • 収入はない:153万円
  • 300万円未満:79万円
  • 300~500万円未満:167万円
  • 500~750万円未満:189万円
  • 750~1000万円未満:238万円
  • 1000~1200万円未満:292万円
  • 1200万円以上:682万円

《年間収入別》「債券・株式・投資信託の合計額」と「金融資産保有額全体に占める割合」

全国:727万円(24.79%)

  • 収入はない:193万円(8.99%)
  • 300万円未満:306万円(22.14%)
  • 300~500万円未満:456万円(26.21%)
  • 500~750万円未満:612万円(23.42%)
  • 750~1000万円未満:739万円(34.29%)
  • 1000~1200万円未満:955万円(26.68%)
  • 1200万円以上:2817万円(26.69%)

年収が上がるにつれて金融資産の総額も増えており、収入と蓄えには明確な相関がうかがえます。特に株式や投資信託、債券といった有価証券への投資額は、年収が高い層ほど大きくなる傾向です。

一方で、資産全体に占める有価証券の割合を見ると、750万〜1000万円未満の層(34.29%)がやや高いものの、無収入世帯を除けば、他の層はおおむね20%台で推移しています。年収の多い少ないにかかわらず、資産の「中身の比率」はそれほど大きく変わらないという見方もできそうです。

2. 年代別に見る「金融資産保有額」の平均値・中央値

次に、20歳代から70歳代まで、年代別の金融資産保有額を「単身世帯」「二人以上世帯」に分けて見ていきます。同じくJ-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和7年)」「同[二人以上世帯調査](令和7年)」がもとになっています。

2.1 単身世帯の金融資産保有額

【単身世帯】年代別の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)2/3

【単身世帯】年代別の貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 20歳代:平均値255万円・中央値37万円
  • 30歳代:平均値501万円・中央値100万円
  • 40歳代:平均値859万円・中央値100万円
  • 50歳代:平均値999万円・中央値120万円
  • 60歳代:平均値1364万円・中央値300万円
  • 70歳代:平均値1489万円・中央値500万円

2.2 二人以上世帯の金融資産保有額

【二人以上世帯】年代別の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)3/3

【二人以上世帯】年代別の貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(令和7年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 20歳代:平均値525万円・中央値125万円
  • 30歳代:平均値1096万円・中央値311万円
  • 40歳代:平均値1486万円・中央値500万円
  • 50歳代:平均値1908万円・中央値700万円
  • 60歳代:平均値2683万円・中央値1400万円
  • 70歳代:平均値2416万円・中央値1178万円

単身・二人以上を問わず、年代が上がるにつれて資産も積み上がっていく傾向が見て取れます。単身世帯では60代に入ると中央値が大きく跳ね上がっており、退職金の受け取りなどが押し上げ要因になっていると考えられます。

二人以上世帯を単身世帯と比べると、平均値・中央値のいずれも高い水準です。もっとも、二人以上世帯の40代を見ると、中央値は500万円にとどまります。ちょうど教育費や住宅の維持費といった支出がかさみやすい時期と重なり、「思うように貯まらない」という感覚を持ちやすい年代だといえそうです。

次のページでは、40代の共働きご夫婦の相談事例と、ファイナンシャルアドバイザーからのアドバイスを紹介します。