利益の谷を作った2年、そして反転
時間軸を広げると、今の反転がより立体的に見える。オムロンの当期利益は、2022年3月期に614億円、2023年3月期には738億円と伸びていた。
それが2024年3月期には81億円まで急落する。製造業の設備投資が停滞し、主力の制御機器が伸び悩んだ時期だ。
2025年3月期は162億円、2026年3月期は284億円と、利益は緩やかに戻してきた。そして直近1Qの急拡大である。
単年度の数字だけでは唐突な急回復に見えるが、2年の谷を経た反転として捉えるほうが実像に近いだろう。
電子部品事業の切り離しと、収益性の立て直し
この間、オムロンは事業の組み替えも進めてきた。構造改革のもとで電子部品事業を非継続事業に分類し、投資ファンドへ譲渡することを決めている。
1Qには、この事業で34億円の損失を計上した。本業の伸びの裏で、ポートフォリオの入れ替えが同時に走っている。
本業では、増収に加えて継続的な収益性の改善を進めている。自己資本比率は60.1%と厚く、財務の土台は固い。もっとも、厚い自己資本や潤沢な手元資金を、どこまで成長に振り向けられるか。
反転をつかんだ今だからこそ、資本の使い方が次の論点になる。
筆者コメント
反転点として位置づけられる局面と読み取れる。それが直近のオムロンの姿だ。過去5期を並べると、当期利益が738億円から81億円まで細り、そこから戻してきた流れが見えてくる。1Qの急拡大は、その延長線上にある。
見落としたくないのは、回復の質だ。今回は円安の追い風もあるが、中心は制御機器の実需である。AI関連の設備投資という新しい需要が、FAという成熟事業に効き始めた。単なる景気の波の戻りとは、少し性格が違う。
もっとも、設備投資は振れが大きい。今の追い風がどこまで続くかは、四半期ごとに需要の中身を確かめていく姿勢が要る。数字の大きさそのものより、需要の持続性に目を向けたい局面だと私は考えている。
参考資料
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石津 大希