決算の翌日に、株価が大きく跳ねることがある。オムロン(6645)が、まさにそうだった。2027年3月期1Qは営業利益が前年同期の3倍を超え、通期予想も引き上げられた。
数年前まで利益の谷にあった会社の、はっきりとした反転である。何がここまで効いたのか、株価と中身を重ねて追ってみたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
決算翌日に急伸した株価、7月下旬の底値からの戻り
まず直近1カ月の株価を確認する。オムロンの株価は8月6日、6,819円で引けた。前日から大きく上昇し、直近1カ月では最も高い水準をつけている。
7月下旬にかけては5,100円台まで下押しする場面もあった。そこからの急な戻りである。決算の内容が好感された可能性が高いが、当日の値動きには相場全体の地合いも絡む。理由を一つに決めつけるのは避けたい。
直近時点でPER(株価収益率)は33倍、PBR(株価純資産倍率)は1.6倍となっている。PERがやや高めに見えるのは、利益がまだ回復の途上にあることの裏返しと読める。
営業利益が3倍を超えた中身、AI設備投資を捉えた制御機器
2027年3月期1Qは、売上収益(IFRS)が2,098億円で前年同期比+26.1%、営業利益は188億円で+226.0%となった。営業利益は3倍を超える急拡大である。
牽引したのは何か。会社によると、制御機器事業でAI需要を背景とした半導体やデータセンター向けの投資を捉え、大幅な増収となった。血圧計を主力とするヘルスケア事業も、日本やアジアのオンライン販売が伸びた。
セグメント別に見ると、制御機器の外部収益は1,312億円で+37.2%、営業利益は213億円と倍増した。全社の営業利益を一段押し上げた中心である。会社はこの好調を受け、通期の営業利益予想を800億円へ引き上げた。前期比+41.7%で、期初計画からの上方修正だ。
ファクトリーオートメーション(工場の自動化)と聞くと、設備投資の波に業績が振り回されるイメージが先に立つ。実際にオムロンは数年前、その波の谷で利益を落とした。
もっとも足元では、AI関連の投資が制御機器の追い風に回っている。FAが「AI投資の恩恵を受ける側」に立つ局面と読み取れる。ここに、今回の急回復の芯がある。
