この記事の読みどころ

最近の投資信託の売れ筋を見ると、マクロ的な投資環境を機敏に捉えて攻める個人投資家層が目立ちます。

その一方、中長期的な資産形成を進めようと低コストの投信を着実に購入する個人投資家層の存在も見えてきました。

豊富な投資信託の品揃えのなかから、自分自身のスタイルにあった商品選択をする投資家層が生まれているようです。

重要な金融政策イベントが行われた2016年3月14‐18日

2016年は年初から株価の調整が進み、特に2月上旬に急落を経験しましたが、その後徐々に市場は落ち着きを取り戻してきました。3月14‐18日は、前週に欧州中央銀行の追加金融緩和が決定されたことを受け、日銀の金融政策決定会合や米国の連邦公開市場委員会が開かれた重要な週でした。さらに中国の全人代も終了しました。

結果を見ると、日米両国の金融政策は現状維持となりましたが、米国の利上げのペースは従来FRBが考えていたよりも緩慢なペースになるという見通しが支配的になりました。世界景気の足取りが確かなものとは言えない中で米国が連続利上げをするというシナリオは後退し、これを世界の株式市場は好感しています。

では個人投資家はこうした投資環境の文脈の中でどう行動したのでしょうか。

楽天証券の2016年3月14‐18日の投信全銘柄売れ筋ランキング

まず、全体ランキングです。

第1位:日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)

第2位:楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型

第3位:フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)

第4位:楽天日本株4.3倍ブル

第5位:ニッセイ日経225インデックスファンド

楽天証券の2016年3月14‐18日の投信積立売れ筋ランキング

では、積立での売れ筋ランキングはどうでしょうか。

第1位:ニッセイ外国株式インデックスファンド

第2位:ひふみプラス

第3位:たわらノーロード 先進国株式

第4位:楽天資産形成ファンド

第5位:世界経済インデックスファンド(株式シフト型)

投資環境を機敏に捉えるアクティブな個人投資家層

こうして見てみると、2つのランキングの顔触れが全く異なることが印象的です。

最初にお示しした全銘柄のランキングでは、毎月分配型で利回りを高めるためにオプションや高金利通貨(ブラジル・レアル)を組み込んだ商品や、米国の不動産投資信託投資、ブル型日本株投信などが並びます。

投資環境的にはブラジル・レアルが急落後に反発局面に入っていることを機敏に捉えたり、株式市場の世界的な落ち着きを踏まえた短期値幅取りを狙っていると思われる投信が多くなっています。商品内容も、複雑なものやリスクが大きいものが多いという印象です。アクティブな投資家が購入していると思われます。

中長期の資産形成を進める個人投資家層も存在

2つ目のランキング、積立口座での投信の売れ筋では、国内株式のひふみプラスを除いて、為替ヘッジのない先進国株式のインデックスファンドか、為替ヘッジのないバランスファンドがランクインしています。中長期の資産形成を積立で行うという目的に対し、教科書通りの正統派のファンドが並んでいます。

この背景には、マイナス金利や将来のインフレに備え、リスクを適切にとって資産形成をしていきたいという、堅実な投資スタンスが個人投資家に広まりつつあることを裏付けているようです。

あなたの投資スタンスに合った投信を見つける参考に

こうした売れ筋ランキングの2極化は望ましいことだと筆者は考えます。特に、投資を始めたいがどうしていいかわからないというかたは、積立ランキングを参考に、少額で結構ですので資産を作っていくのが良いのではないでしょうか。

全体の売れ筋投信を見ても、「自分に合っているのかはっきりしない、商品の中身がわからない」と感じる方に役に立つランキングです。全体の売れ筋ランキング上位の投信を購入している個人投資家の方もぜひ積立ランキングをご覧いただき、ご自身の投資スタンスを確認してみることをお勧めします。

【2016年3月24日 投信1編集部】

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LIMO編集部