犬や猫を飼うためには、フードや医療費はもちろんのこと、予防接種費、去勢手術の費用など、多くの経費を必要とします。
では、一生を通じて必要になる金額はどれくらいなのでしょうか。一般社団法人ペットフード協会が実施している「全国犬猫飼育実態調査」の結果から、犬の「生涯必要経費」を確認していきます。
1. この記事の3つのポイント
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①2025年の犬全体の生涯必要経費は278万4190円 -
②平均寿命は犬全体で14.82歳 -
③大きさ別では超小型が300万2239円で最も高い
2. 「生涯必要経費」とはどう計算されるのか
まず、この数字の算出方法を押さえておきましょう。
生涯必要経費は、犬の年齢ごとに算出した平均支出金額を、平均寿命まで足しあげることによって算出されています。
つまり「1年あたりいくら×平均寿命の年数」という単純な掛け算ではなく、年齢ごとに変動する支出額を積み上げた金額です。子犬の時期はワクチンや用品の購入が多く、高齢期には医療費が増える。そうした年齢による違いを反映した数字ということになります。
なお、以下の金額に付記されている( )内は平均寿命です。
3. 犬の生涯必要経費は約278万円
それでは、犬の生涯必要経費を見ていきましょう。犬の大きさ別にご紹介します。
【2025年】生涯必要経費
- 犬全体:278万4190円(14.82歳)
- 超小型:300万2239円(15.28歳)
- 小型:258万2402円(14.59歳)
- 中型・大型:277万5565円(13.63歳)
【2024年】生涯必要経費
- 犬全体:271万1875円(14.90歳)
- 超小型:270万7366円(15.13歳)
- 小型:272万6508円(14.78歳)
- 中型・大型:270万3543円(14.37歳)
【2023年】生涯必要経費
- 犬全体:244万6068円(14.62歳)
- 超小型:255万4012円(15.07歳)
- 小型:238万2200円(14.29歳)
- 中型・大型:255万9186円(13.86歳)
3年間の推移を見ると、犬全体では244万円から278万円の範囲で推移しています。上昇傾向にあるといえるでしょう。
4. 犬の大きさと生涯経費の関係
興味深いのは、体が大きいほど費用が高くなるとは限らないという点です。
2025年のデータでは、超小型300万2239円に対して中型・大型277万5565円。超小型のほうが22万円以上高くなっています。
その理由は平均寿命の違いにあります。超小型の平均寿命は15.28歳、中型・大型は13.63歳。約1.6年の差があります。
1年あたりのフード代や医療費は大型犬のほうが高くなりやすいものの、生きる年数が長い小型犬のほうが、積み上げた総額では上回るという構図も考えられます。
ただし必ずしも平均寿命による相関があるとはいえず、年によって傾向が変わることもあります。調査年ごとの回答者構成の違いも影響していると考えられるため、単年の数字だけで判断せず、複数年の推移で見ることが大切です。
5. 生涯経費の内訳として想定されるもの
生涯必要経費に含まれるのは、犬と暮らすうえで発生する幅広い支出です。
- フード代(主食・おやつ)
- 医療費(ワクチン、健康診断、通院、手術)
- 不妊・去勢手術費
- トリミング代
- ケージ、リード、おもちゃなどの用品
- ペット保険料
- ペットホテルや預かりサービス
このうち、年齢とともに増える傾向が強いのが医療費です。人間と同じように、高齢になれば慢性疾患の治療や投薬が必要になるケースが増えます。
また、トリミングが必要な犬種では、その費用が毎月または隔月で発生します。犬種によって生涯経費が変わる要因のひとつです。
6. 約278万円をどう準備するか
278万円という金額は、14年余りにわたって分散して発生します。注意したいのは支出が均等ではないという点です。迎えた最初の年は用品の購入とワクチンで大きくかかり、高齢期は医療費が膨らみます。
- 迎える前に初期費用の見積もりを立てる
- 毎月の飼育費を家計に固定費として組み込む
- 高齢期の医療費に備えて、別枠で積立を検討する
- ペット保険への加入も選択肢として検討する
とくに手術が必要になった場合、1回で数十万円かかることもあります。急な出費に対応できる備えがあると安心です。
犬を迎えることは、10年以上にわたる家計上のコミットメントでもあります。数字を知ったうえで、最後まで責任を持てるかを考えることが何より大切です。
7. 【監修者コメント】"総額"と"年あたり"で序列は逆転する ― 犬の生涯費用の読み方
7.1 生涯費用は平均278万円、最高は超小型
私はアナリストとして、金額は「総額」と「単位あたり」の両面で見る癖をつけてきましたが、犬の生涯費用もその視点で眺めると発見があります。ペットフード協会の令和7年(2025年)調査では、犬の生涯必要経費は平均278万4190円。大きさ別では超小型が300万2239円で最も高く、中型・大型(277万5565円)を上回っています。
7.2 「年あたり」に割り戻すと中大型が上回る
この順位のカギは、体の大きさではなく平均寿命にあります。超小型は15.28年と長生きで、その分だけ総額がふくらむのです。そこで総額を寿命で割り戻してみると、景色が変わります。超小型は年およそ19.6万円なのに対し、中型・大型は13.63年で277万円ですから、年およそ20.4万円。1年あたりで見ると、むしろ中型・大型のほうが高いのです。総額の大きさは、裏を返せば「長く一緒にいられる」ことの表れでもある、という読み方ができます。
7.3 山谷は「毎月に均して」備える
もう一つ大切なのは、費用が毎年一定ではないことです。記事も触れているとおり、初年度は用品やワクチン、高齢期は医療費と、支出には山があります。ですから総額の大きさに身構えるより、「年あたり約20万円を、毎月に均してコツコツ備える」と捉えるほうが現実的です。早めの積立や、必要に応じた保険の検討でこの山谷をならしておくと、長い時間を穏やかに過ごせるのではないでしょうか。
泉田良輔(CMA)
8. まとめにかえて
今回は、ペットフード協会の調査から犬の生涯必要経費を確認しました。
- 2025年の犬全体の生涯必要経費は278万4190円(平均寿命14.82歳)
- 2025年の超小型は300万2239円(平均寿命15.28歳)
- 体の大きさより平均寿命の長さが総額に影響しやすい
かわいい家族と過ごす年月には、こうした費用が伴います。長く一緒にいるための準備として、数字を把握しておいてはいかがでしょうか。
参考資料
LIMOどうぶつ部