家族同然のペットと長く健やかに暮らすためには、日常の予防ケアや病気・ケガの治療費用が欠かせません。しかし「実際に年間でどのくらいの医療費がかかるのか」不安に感じる飼い主も多いでしょう。

本記事では、アイペット損害保険株式会社が発表した最新データをもとに、犬・猫の年間医療費の実態や、飼い主が知っておくべき費用準備のポイントを解説します。

1. 犬と猫で大きな差!ペットの年間医療費「2万円未満」が最多も犬は高額化傾向

アイペット損害保険の「ペットの支出に関する調査」(2026年3月発表)によると、年間医療費(保険料を除く)の全体平均では「2万円未満」が44.9%と最も高い割合となりました。しかし、犬と猫で内訳を比較すると明確な違いが見られます。

  • 全体の医療費分布

    • 2万円未満:44.9%

    • 2万円〜4万円未満:20.3%

    • 4万円〜6万円未満:20.3%

    • 6万円〜10万円未満:14.7%

    • 10万円以上:5.2%

  • 犬と猫の費用差

    • 猫の飼育者:「2万円未満」が58.6%と過半数を占め、年間費用が抑えられている世帯が多い傾向。

    • 犬の飼育者:「2万円未満」は31.2%にとどまり、「6万円〜10万円未満」が30.8%、「10万円以上」が6.8%と、高額な医療費がかかる層が目立つ。

散歩時のケガリスクや体格に応じた薬代の差などから、犬のほうが医療費が高くなりやすい実態が浮き彫りとなっています。

2. 3割以上が「受診を迷った経験あり」!突発的な医療費に備えるポイント

同調査では、3割を超える飼育者が「費用面から病院への受診を迷った、または様子見をしたことがある」と回答しています。

人間の医療とは異なり、ペットには公的な健康保険制度がないため治療費は基本的に全額自己負担となります。病気やケガは突発的に発生するため、費用面の不安から受診が遅れてしまう状況は避けたいところです。

万が一の事態に備えるためには、以下の対策が効果的です。

  • ペット専用の貯蓄:毎月定額を積み立て、急な通院や手術に備える

  • ペット保険の活用:高額になりがちな医療費のリスクを軽減する

愛するペットの健康を守り、安心して治療を受けさせるためにも、普段から計画的な金銭的リスク管理を行っておくことが大切です。

3. 【監修者コメント】平均より"右端"を見る ― ペット医療費は「低頻度・高額」への備えが要

私はもともと運用の世界で、「めったに起きないが、起きたら大きい」リスクをどう扱うかを考えてきましたが、ペットの医療費も同じ発想で眺めると、備え方が見えてきます。アイペット損害保険の調査では、年間の医療費が「2万円未満」で収まる家庭は全体で44.9%。ただし猫では58.6%なのに対し、犬では31.2%にとどまり、犬は「6万〜10万円未満」が30.8%、「10万円以上」も6.8%と、高額層が厚いのが特徴です。

ここで大切なのは、平均でざっくり捉えるのではなく、「分布の右端」を見ておくことです。多くの年は少額で収まる一方、確率は低くても医療費が10万円を超える年が、一定割合で必ず現れます。しかもペットの医療費には公的な保険がなく全額自己負担のため、この「低頻度・高額」の出費が家計を直撃しやすいのです。金融の世界では、こうした「頻度は低いが金額の大きいリスク」こそ、貯蓄や保険でならしておくのが基本とされます。実際、費用を理由に受診を迷った飼い主も3割以上にのぼります。

少額でよく出る費用は日々のやりくりで、めったに来ない大きな出費は「貯蓄か保険か」で――と切り分けて考えておくと、いざというとき落ち着いて向き合えるのではないでしょうか。

泉田良輔(CMA)

参考資料

LIMOどうぶつ部