先端投資の重さと、利益の変質
赤字の背景には、需要の二極化に加えて投資の重さがある。会社は先端300mmの生産能力増強へ設備投資を続けており、前期はそれに伴う減価償却費の増加が利益を押し下げたと説明している。
実際、前期の減価償却費は1,100億円規模に達し、有形固定資産も大きく積み上がっている。営業利益で振り返ると、2022年12月期の1,097億円から、2023年12月期731億円、2024年12月期369億円、2025年12月期13億円と年を追って細り、直近では赤字に転じた。
財務の面では、前期末の自己資本比率は51%台を保つ一方、先端投資の資金を借入でも賄い、長期の借入金を中心に有利子負債が積み上がっている。
前期は営業キャッシュ・フローで1,000億円規模を確保したが、投資キャッシュ・フローは1,100億円規模の支出となり、稼ぐ以上に投じる局面が続いた。成長投資が先に立ち、需要の本格回復を待つ局面といえる。
会社は2026年12月期2Qについて、300mmはAI向けの先端ロジックとDRAMの需要が強く、サーバー向けの拡大でNAND向けも伸びると見ている。
一方で非先端の在庫適正化は続くともしている。200mm以下については生産体制の再編を進め、効率化と収益改善に取り組む予定でもある。今後は、先端の伸びが、非先端の弱さと投資負担の重さをいつ上回るかが焦点になるだろう。
筆者コメント
株価の乱高下と営業赤字、そしてAI向けの強い需要。この3つを同時に見ると、SUMCOの今の姿が見えてくる。市場が期待するAIの追い風は確かに吹いているが、それは主力の一部であり、全体の採算は非先端の低迷と先端投資の重さに引っ張られている。
見落としたくないのは、赤字の質だ。需要が細って売れないのではなく、先端能力への投資が先行し、その減価償却が重いという側面がある。これは需要が戻れば利益に転じうる可能性を示しており、裏を返せば投資が一巡し先端需要が数量として伸びるまでは損益の重さが続きやすいということでもある。
株価が短期間で上下しているのは、この状況を市場が測りかねているからかもしれない。次の四半期に先端需要の伸びが数字で確かめられるかどうかが、振れを収める鍵になるだろう。
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参考資料
石津 大希