パナソニックホールディングス(6752)の株価は決算を挟んで大きく動いた。同社は2027年3月期1Qで営業利益を前年同期のおよそ2倍に伸ばし、あわせて通期の業績予想を上方修正した。株価は7月31日に前日比で約2割上昇。決算の中身とあわせ、この急伸を紐解いていく。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

2026年7月31日に約2割高。1カ月の株価の振れ

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出所:各種資料をもとに筆者作成

株価は7月の1カ月を通じて振れ幅が大きかった。月初は4,500円台で始まり、7月6日には4,557円をつけたものの、中旬以降は水準を切り下げ、7月29日には3,507円まで下落した。ところが決算をはさんだ7月31日、終値は4,284円と前日比で約2割上昇している。

直近1カ月では下げ場面が目立ったが、当日の急伸で月初に近い水準まで戻した格好だ。株式市場全体の地合いも影響した可能性はあるが、決算への反応も大きかっただろう。

足元のバリュエーションは、7月31日時点でPER22倍、PBR1.85倍となっている。前期は構造改革費用が利益を押し下げ、自己資本利益率は3.8%と電気機器の中央値である7%台を下回っていた。株価は、その低い水準からの利益回復をどこまで織り込むかという段階にある。1Qの数字と上方修正は、その回復シナリオを後押しすることになる。

営業利益2.1倍の1Q、そして通期上方修正

2027年3月期1Qは、売上収益が2兆189億円と前年同期比プラス6.4%、営業利益が1,825億円と前年同期の869億円から2.1倍に拡大した。税引前利益は1,889億円、親会社の所有者に帰属する当期利益も1,352億円とプラス89.2%で大きく伸びている。

会社はこの1Qを踏まえ、通期見通しを上方修正した。営業利益は前回予想の5,500億円から5,900億円へ、当期純利益は4,200億円から4,500億円へ引き上げている。売上高の前提も7兆6,000億円から7兆8,000億円へ、実力を測る調整後営業利益も6,000億円から6,500億円へと引き上げた。

前期の営業利益は2,364億円だったため、会社計画どおりなら営業利益はおよそ2.5倍に回復する。前期はグループ経営改革に伴う構造改革費用が利益を圧迫しており、今期はその反動もあって増益幅が大きく見える局面だ。年間配当も前期の40円から54円へ増配を見込む。

家電のイメージと、実際の稼ぎ頭

パナソニックというと家電の印象が先に立つが、1Qのセグメント別営業利益を見ると稼ぎ頭は別にある。最も稼いだのは車載電池などを含むエナジーで409億円、次いで工場自動化などのインダストリーが391億円と続く。

この2つはいずれも前年同期から大きく伸び、エナジーは319億円から、インダストリーは194億円からの増益だ。前年同期に営業損失を計上していたコネクトも255億円へと改善し、赤字から一転して利益の柱に加わっている。

一方、家電を含むスマートライフは118億円、住宅設備などのエレクトリックワークスは248億円、空調のHVAC&CCは145億円と、6つの事業が幅広く利益を出す構図になっている。

全社の営業利益が2.1倍になった背景には、特定の一事業ではなく、B2B色の濃い複数事業が同時に上向いた背景がある。

稼ぐ力の源泉が、消費者の目に触れる製品からずれている点は、今後もこの会社を見るうえで押さえておきたい。