1%の金利差で、500万円以上の節約も可能
日銀がマイナス金利政策を導入したのを受けて、金融機関が住宅ローン金利を引き下げています。このため、住宅ローンの借り換えを検討している人もいるでしょう。そこで、実際にどのようなメリットがあるのか検討してみました。
住宅ローンは、借入金額が大きく、借入期間も長いことから、金利差によって返済総額に大きな差が出ます。たとえば、3,000万円を返済期間30年で借り入れる場合、毎月の返済額と総返済額は以下のようになります。
金利 | 毎月返済額 | 総返済額 |
---|---|---|
2.5% | 約11.9万円 | 約4,268万円 |
2.0% | 約11.1万円 | 約3,992万円 |
1.5% | 約10.4万円 | 約3,728万円 |
※いずれも全期間固定金利、元利均等返済、ボーナス返済なしで想定
金利が2.5%と1.5%で比較すると、金利が1.0%違うと、返済総額は540万円もの差が出ます。この差は大きいですね。借り換える価値があります。
ただし、借り換えには諸費用がかかります。事務手数料、登録免許税、司法書士報酬、印紙税などで、ローンの残高や借入期間により異なりますが、数十万円程度です。残高が3,000万円の場合、約80万円というのが一般的です。
それでも、前述したように、1%の金利の違いにより、500万円以上も総返済額に違いが出るというなら、諸費用を払ってでも借り換えるメリットがあります。
差し引きでどれくらい節約できるのか計算してみるといいでしょう。金融機関では、借り換えを検討している人に対して、諸費用なども含めたシミュレーションを行っています。サイトで試算ができるところもあります。
信託銀行なども含め、どの金融機関も「口座を持っていない新規顧客も歓迎」といった姿勢です。まずは気軽に相談してみるといいでしょう。
これから変動金利を選ぶのは金利上昇リスクもある
ところで、住宅ローンの借り換えを検討する際、「変動金利にすべきか固定金利にすべきか」という悩みもあるでしょう。変動金利は固定金利よりも金利が低いためです。1%未満のものも珍しくなく、最近では0.5%を切るものも登場しています。
これが30年続けば、支払う利息もかなり少なくてすむと考えたくなりますが、変動金利はその名のとおり、将来に金利が変動するリスクがあります。現在の低金利がずっと続くことは考えにくく、むしろインフレになることが予想されています。
もちろん、今後も長期間低金利が続く可能性がないわけではありませんが、問題はそれが「わからない」ことです。
ローン残高が小さく、返済期間が短く、さらに金利が上がっても対応できる預貯金や収入のある人は、変動金利を利用しても不安はないでしょうが。これから長期間にわたり大きなローンを返済しなければならないという人は、固定金利のほうが安心でしょう。
新築物件を購入する人は「高値づかみ」にならないように警戒を
すでに住宅を買った人がローンを借り換えるのではなく、これから住宅を買う人にとっては、昨今の住宅ローンの金利低下はどういう影響があるでしょうか。
残念ながら、恩恵については疑問符を付けざるを得ません。というのも、最近は、金利低下の影響を打ち消すほどに物件の価格が上がっているからです。来春の消費再増税も延期が視野に入り、駆け込みで購入するメリットもなくなりそうです。
ローン金利の低下で「買えるから」「借りられるから」と、あわてて購入すると「高値づかみ」になる恐れもあります。
もちろん「それでも、今買いたい」という判断もあるでしょう。将来の自分や家族のライフスタイルに応じて最適な方法を選ぶといいでしょう。
【2016年3月23日 投信1編集部】
■参考記事■
>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント
LIMO編集部