2026年現在、「働き方に中立な税制」の構築に向けた退職所得課税の見直し議論や、終身雇用を前提とした人事制度からの脱却が進む中、企業の退職金制度は大きな転換点を迎えています。
老後資金の不安を背景に「退職金の計算シミュレーション」に関心がある人もいるのではないでしょうか。
退職金の金額や計算方法は、国が法律で一律に定めているものではなく、お勤め先の企業が独自に定める「退職金規程(就業規則)」によって算出されます。
そのため、ご自身の退職金をシミュレーションするためには、まず自社がどのような計算方式(基本給連動型やポイント制など)を採用しているかを把握することが第一歩となります。
本記事では、代表的な退職金の計算方法の仕組みから、実務上陥りやすい「よくある勘違い(自己都合退職での減額等)」、そして額面から引かれる「税金」の基本ルールまで、分かりやすく紐解きます。
1. この記事の3つのポイント
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計算方式の確認: 退職金は「基本給連動型」「定額制」「ポイント制」など、企業ごとの規程によって算出方法が大きく異なる。 -
実務上の落とし穴: 同じ勤続年数でも、「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって支給率が変わるケースがある点に留意が必要である。 -
額面と手取りの違い: 退職金には所得税や住民税がかかるため、勤続年数に応じた「退職所得控除」を計算し、実際の手取り額を意識することが重要。
i近年、多くの企業が従来の「勤続年数に依存した退職金(基本給連動型)」から、成果や役割を反映しやすい「ポイント制」や「確定拠出年金(DC)」への移行を進める傾向が見受けられます。
退職金は老後資金の大きな柱となりますが、「長く勤めれば自然と増えるはず」という思い込みは、資金計画にズレを生じさせる要因になりかねません。ご自身の退職金がどのような数式で成り立っているのか、自社の規程を一度冷静に確認してみることは、確実な家計防衛につながると考えられます。
※本記事は、編集部および執筆者が厚生労働省などが公表する公式資料を確認の上、執筆・検証しています。
2. 退職金は法律上の義務ではない?自社の「規程」がすべて
退職金をシミュレーションするにあたり、まず大前提として押さえておきたい事実があります。それは、「企業は法律上、退職金を支払う義務を負っていない」ということです。
2.1 実務のポイント:就業規則と退職金規程の確認
退職金制度の有無や、いくら支払うかの計算方法は、すべて各企業が作成する「就業規則」や「退職金規程」によって定められています。そのため、「平均相場がこのくらいだから、自分もこれくらいもらえるだろう」といった推測で計算すると、実際の金額と大きく乖離してしまう可能性があります。
ご自身の正確な退職金を把握するためには、社内イントラネットなどで閲覧できる退職金規程を確認するか、人事・総務担当部署へ客観的な数値を照会することが、確実なアプローチとなります。
