4. 年収610万円は給与所得者の中でどの位置か

国税庁の民間給与実態統計調査によると、給与所得者全体の平均給与は478万円です。男性の平均は587万円で、女性の平均は333万円となっています。

4.1 国税庁データから見る分布

年収610万円は男性平均の587万円を上回る水準です。同調査の給与階級別集計では、年収600万円超700万円以下の給与所得者は390万7007人で、給与所得者全体の7.61%にとどまります。

給与階級別の統括表3/3

給与階級別の統括表

出所:国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」

苛原 寛

年収600万円超700万円以下の層が給与所得者全体の7.61%というのは、思ったより少なく感じる方も多いのではないでしょうか。年収610万円は決して「普通」の水準ではなく、上位に入る収入だということは意識しておきたいポイントです。

つまり年収610万円は、給与所得者全体の中でも上位に位置します。ただし、物価高が続いている昨今においては年収610万円でも少ないと感じる人もいるかもしれません。

実際に私がファイナンシャル・プランナーとしてライフプランの相談に乗る際にも、都内で年収610万円だと生活に余裕がある人はそこまで多くない感覚です。

5. 監修者コメント:「平均を上回っている」で終わらせない、老後資金の考え方

中本 智恵

今回の試算では、年収610万円・40年加入のモデルケースで月約18万2000円という数字が出てきましたが、これはあくまで理論値です。実際の受給額は賞与の時期や休職期間、標準報酬月額の上限などによって変わるため、まずはねんきん定期便やねんきんネットでご自身の実際の見込み額を確認することをおすすめします。

銀行の窓口でも、「平均より年収が高いから年金も安心」と考えていた方が、実際に試算してみると想定より少なかったというケースを何度も見てきました。年収が平均を上回っていることと、老後の生活が安心であることは、必ずしもイコールではありません。

厚生年金と老齢基礎年金だけで生活費を賄えるかどうかを早めに確認し、不足しそうであればNISAやiDeCoといった制度も含めて、老後資金の準備を前倒しで検討しておくと安心です。

6. 老後資金の全体像を早めに確認しましょう

平均年収と加入期間、共働きか片働きかによって年金受給額は大きく異なります。

そのため、ねんきん定期便で自分の加入記録を確認し、将来受け取れる年金額を試算しましょう。年金だけでは生活できないことがわかれば、今から老後資金の準備が必要です。

老後資金の準備は早い段階で着手するほど選択肢が広がります。厚生年金と老齢基礎年金だけで生活費を賄えるか、家計の実情に照らして確認してみてください。

参考資料

苛原 寛