3. みんなの金融資産保有額はどれくらい?(預貯金・株式・投資信託など)

年代ごとに見た場合、一般的な金融資産保有額はどの程度なのでしょうか。ここでは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに、年齢別の平均額を見ていきます。

※この調査における金融資産とは、預貯金のほか、株式や投資信託、生命保険などを指します。ただし、日常的な決済に利用する普通預金口座の残高は対象外です。また、先ほどの富裕層データ(野村総合研究所)は負債を差し引いた「純金融資産」でしたが、こちらの世論調査のデータは負債を差し引く前の金額となっています。

まずは単身世帯の状況から確認します。

3.1 【一覧表で確認】20〜70歳代「単身世帯」の金融資産保有額の平均

  • 20歳代:平均値255万円・中央値37万円
  • 30歳代:平均値501万円・中央値100万円
  • 40歳代:平均値859万円・中央値100万円
  • 50歳代:平均値999万円・中央値120万円
  • 60歳代:平均値1364万円・中央値300万円
  • 70歳代:平均値1489万円・中央値500万円

年齢が上がるにつれて金融資産保有額は増加する傾向が見られます。

続いて、二人以上世帯の金融資産保有額の平均を見ていきます。

 

3.2 【一覧表で確認】20〜70歳代「二人以上世帯」の金融資産保有額の平均

  • 20歳代:平均値525万円・中央値125万円
  • 30歳代:平均値1096万円・中央値311万円
  • 40歳代:平均値1486万円・中央値500万円
  • 50歳代:平均値1908万円・中央値700万円
  • 60歳代:平均値2683万円・中央値1400万円
  • 70歳代:平均値2416万円・中央値1178万円

二人以上世帯では、平均値・中央値ともに単身世帯を上回る結果となっています。

4. 富裕層は資産とどう向き合っていた?元銀行員がみた「増やす」と「相続への備え」

銀行員時代、多くの富裕層のお客様のコンサルティングを行ってきましたが、皆さん積極的に資産運用を行っている印象でした。

ただし、一括りに「資産運用」といっても中身はさまざまで、安定性を重視した運用と、リスク許容度をやや上げて増やすことを優先する運用とに分け、投資商品・投資対象をしっかり分散されている方が多かったです。

お金を減らさないように、増えるようにと工夫する一方で、並行して行っていたのが相続対策です。

遺産にかかる基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されますが、富裕層のご家族は数千万円、あるいは億を超える相続税を支払うことになるケースも少なくありません。

そうした方々には、相続対策として活用できる金融サービスや商品をご提案していました。

和田 直子

昨今、SNSやメディアでは日本の「税負担」に対する疑問や不満の声をよく目にします。特に相続税に関しては、「諸外国に比べて税率が高すぎるのではないか」という議論が絶えません。

「税金が高すぎるなら、生前に贈与してしまおう」と考える方も多いですが、そこには贈与税という壁が立ちはだかります。さらに注意したいのが近年の税制改正です。以前は「相続前3年以内」だった贈与の持ち戻し(相続財産への加算)期間が、現在は最長で「7年」へと段階的に延長されています。つまり、良かれと思って非課税枠の範囲内でコツコツ生前贈与をしていても、亡くなる前7年分の贈与は相続税の対象として遡って計算されてしまうのです。

日本の税金の仕組みは非常に複雑で、時代とともにルールも変わっていきます。「昔聞いた対策」が今は通用しないケースも少なくありません。だからこそ、常にアンテナを張り、最新の情報をキャッチアップしておくことが、大切な資産を守るための第一歩と言えます。

富裕層の方々に共通していたのは、「増やす」ことと「守る(引き継ぐ)」ことを同時に考えていた点です。

資産の規模にかかわらず、この二つの視点を持つこと自体は、誰にとっても参考になる考え方ではないでしょうか。

参考資料

和田 直子