6. 65歳を過ぎても働く人が増加 年金と仕事を組み合わせる時代へ
「年金生活」と聞くと、仕事を引退して暮らす姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし実際には、65歳を過ぎても働き続ける人は年々増えています。
総務省統計局「労働力調査(2025年)」によると、65歳以上の就業者数は約950万人となり、過去最多の水準で推移しています。
また、高齢者の就業率を見ると、
- 65~69歳:約55%
- 70~74歳:約35%
- 75歳以上:約12%
となっており、65~69歳では2人に1人以上が何らかの形で仕事を続けている状況です。
6.1 就労収入は老後家計を支える重要な柱
こうした背景には、平均寿命の延びだけではなく、年金収入だけでは生活費を十分に賄えない現実もあります。そのため、再雇用やパート勤務、自営業などを通じて収入を確保する人が増えています。
特に近年は物価高の影響もあり、「生活費を補うため」「将来の医療費や介護費に備えるため」「貯蓄をできるだけ取り崩さないため」といった理由から、働き続ける人が少なくありません。
6.2 在職老齢年金の仕組みも知っておきたい
65歳以降も厚生年金に加入しながら働く場合は、「在職老齢年金」の仕組みが関係してきます。
在職老齢年金とは、給与と厚生年金の合計額が一定の基準を超えた場合に、厚生年金の一部または全部が支給停止となる制度です。
近年は制度の見直しが進められており、以前と比べると、年金を受け取りながら働きやすい環境が整いつつあります。
6.3 「年金+就労収入」が新しい老後のスタンダードに
老後資金を考える際は、「年金だけで生活する」という考え方だけでなく、「年金に就労収入を組み合わせる」という選択肢も、今では現実的なものになっています。
実際の統計を見ても、多くの高齢者が年金を受給しながら働き続けており、就労による収入は老後の家計を支える重要な柱の一つとなっています。
これからの老後設計では、年金の受給額だけに目を向けるのではなく、「何歳まで、どのような働き方を続けるか」という視点もあわせて考えておくことが大切になるでしょう。
7. まとめにかえて|安心できる老後に向けた収入の備え方
猛暑が続く今年の夏ですが、涼しい部屋で過ごす時間の一部を、ぜひ「将来のお金の点検」にあててみてください。
ここまで見てきたように、これからの時代の老後は「国が用意した年金だけで暮らす」という単一のモデルではなくなっています。
現役時代の働き方によって基礎となる年金額は大きく変わるうえ、年金は原則として「偶数月に2カ月分がまとめて振り込まれる」ため、現役時代以上の計画的な家計管理スキルも問われます。
不安を煽るニュースばかりが目につきますが、大切なのは「自分の場合はどうなるのか」という現在地を正確に知ることです。
まずはこのお盆休み中に、スマートフォンから「ねんきんネット」へアクセスし、ご自身の受給見込み額を確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
8. 監修者のコメント
老後のメイン収入となる年金額を把握できれば、足りない部分を「細く長く働き続けること(就労収入)」や「新NISAなどを活用した資産運用」でどう補うか、具体的な戦略が立てられるようになります。
漠然とした不安を具体的な「安心」に変える第一歩を、この夏から踏み出していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「労働力調査(2025年)」
池上 翠
