8月に入り、まもなくお盆休みを迎えます。帰省して久しぶりに両親と顔を合わせ、「少し年をとったな」と感じたとき、ふと「自分自身の老後」が頭をよぎることはありませんか。
日々の業務に忙殺されていると後回しにしがちな将来のお金の話ですが、まとまった休みが取れる夏は、自身のライフプランを見つめ直す絶好のタイミングです。
終身雇用が当たり前だった時代は終わりを告げ、現在ではフリーランスや副業、転職など、一人ひとりが多様なキャリアを選択できるようになりました。
しかし、その「働き方の自由」は、そのまま「将来受け取る年金額の違い」に直結します。
2026年度の年金額は4年連続で引き上げられたものの、止まらない物価高の波のなかで「自分たちの世代は年金だけで本当に生活できるのか」という不安は、現役世代全体に広がっています。
本記事では、漠然とした「老後不安」の正体を統計データから紐解き、働き方別のリアルな年金受給額、そしてこの夏からすぐに始められる具体的な備えについて徹底解説します。
1. この記事の3つのポイント
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70歳代でも経済的不安は多数: 単身世帯の約35%、全体でも約87%が「生活にゆとりがない」と感じている。 -
働き方で年金額は激変: 長く会社員を務めた人と自営業・フリーランスでは、年金月額に10万円以上の差が生じることも。 -
平均受給額の実態: 厚生年金は男性約17万円・女性約11万円、国民年金は約5.9万円と、男女や加入履歴で差が大きい。
2. 老後への不安を感じる人はどれくらい?統計から見る将来への本音
働き方が多様化し、会社員・自営業・副業・フリーランスなどさまざまなキャリアを歩む人が増えるなか、「老後のお金」に漠然とした不安を抱えている人は少なくありません。
実際にJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査を見ても、多くの人が「年金だけでは生活が心配」「老後資金に不安がある」と感じています。まずは、数字から現在の日本人の本音を見ていきましょう。
2.1 働き方が多様化する時代、老後不安はより身近なテーマに
近年は、会社員として一つの企業に勤め続けるだけでなく、フリーランスや個人事業主、副業との掛け持ちなど、多様な働き方を選ぶ人が増えています。
重要なのは、肉体的・精神的に負担が少なく、長く続けられる仕事を選ぶことです。
一方で、公的年金は現役時代の加入状況や働き方によって受給額が大きく変わる制度です。
そのため、「自分は将来どのくらい受け取れるのだろう」「年金だけで生活できるのだろうか」と不安を感じる人が増えるのも自然なことといえるでしょう。
2.2 「老後資金が心配」は少数派ではない
こうした不安は個人の思い込みではありません。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を見ると、老後の生活に対して経済的な不安を抱える人は非常に多いことが分かります。
70歳代の生活実感《二人以上世帯・単身世帯》

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成
例えば70歳代では、
- 単身世帯の35.5%が「日常生活費の確保が難しい」
- 二人以上世帯・単身世帯ともに約87.7%が「生活にゆとりがない」「家計が苦しい」
と回答しています。
現在すでに年金を受給している世代でも、このような状況にあることを考えると、現役世代が将来に備えたいと考えるのは決して特別なことではありません。
2.3 「年金だけ」に頼らない準備がますます重要に
公的年金は老後生活の重要な柱です。しかし、働き方が多様化するなかでは、受給額にも大きな差が生まれます。
特にフリーランスや自営業など、国民年金が中心となる人は、会社員として長期間厚生年金に加入した人と比べて受給額が低くなる傾向があります。
だからこそ、多くの専門家が「年金だけに頼らず、預貯金や資産形成を組み合わせて備えることが重要」と指摘しています。
将来への不安を漠然と抱え続けるのではなく、自分がどのくらい年金を受け取れるのかを確認し、不足しそうな部分を現役のうちから少しずつ補っていくことが、これからの時代の老後準備の基本になるでしょう。
では、年金について詳しく見ていきましょう。
3. 働き方によって将来の年金額は変わる 現役時代から考えたいポイント
老後に受け取る年金額は、受給を迎えた時点で一律に決まるものではありません。現役時代にどのような働き方をしてきたかによって、将来受け取れる年金額は少しずつ積み上がっていく仕組みになっています。
日本の公的年金は、1階部分にあたる国民年金(基礎年金)と、2階部分にあたる厚生年金で構成される「2階建て」の仕組みです。
そのため、現役時代の働き方や加入する年金制度によって、将来受け取る年金額には大きな違いが生まれます。
国民年金と厚生年金の違いや、今のシニア世代が「実際にどのくらい年金を受け取っているか」については『【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説』で詳しく解説しています。
4. モデルケース別に紹介 平均年収610万円で約40年勤務した場合、年金はいくら受け取れるのか
働き方やライフコースが多様化するなか、「自分は将来どれくらいの年金を受け取れるのだろう」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省は2026年度の年金改定にあわせて、「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」を公表しています。実際の働き方を想定したモデルであり、自分のケースに近い受給額をイメージする参考になります。
ここでは、加入期間や働き方の違いによって、年金額にどの程度の差が生じるのかを確認していきましょう。対象は、2026年度に65歳となる人を想定しています。
ぜひ、ご自身の働き方に近いパターンがあるか確認してみてください。
4.1 【パターン1】会社員生活が長い男性(厚生年金メイン)
- 想定:平均年収 約610万円(月額換算50.9万円)で40年就業
- 年金月額の目安: 17万6793円
内訳は、基礎年金がおよそ7万円、厚生年金部分が約10万7000円です。長期間にわたり厚生年金へ加入したケースでは、比較的高い水準の年金額となります。
4.2 【パターン2】自営業・フリーランス等の男性(国民年金メイン)
- 想定:厚生年金加入が短く(約7年)、国民年金期間が長い
- 年金月額の目安: 6万3513円
国民年金が中心となるケースでは、受給額は大きく抑えられます。この金額だけで生活費をまかなうのは簡単ではないため、預貯金や私的年金、資産形成などの備えが重要になります。
4.3 【パターン3】バリバリ働いた女性(厚生年金メイン)
- 想定:平均年収 約427万円(月額換算35.6万円)で33年就業
- 年金月額の目安: 13万4640円
女性の厚生年金は、就業年数や賃金水準の影響を受けやすく、男性より受給額が低くなる傾向があります。
4.4 【パターン4】自営業等の女性(国民年金メイン)
- 想定:厚生年金期間が短い(約6年)
- 年金月額の目安: 6万1771円
厚生年金への加入期間が短い場合は、老後の年金は国民年金が中心となるため、生活設計への影響も小さくありません。
4.5 【パターン5】専業主婦期間が長い女性(第3号被保険者中心)
- 想定:扶養内期間が長い
- 年金月額の目安: 7万8249円
第3号被保険者制度により基礎年金は確保されますが、厚生年金部分が少ないため、受給額は限定的になります。
4.6 ここがポイント:
同じように長く働いていても、厚生年金にどれだけ加入していたかによって、将来受け取る年金額には月10万円以上の差が生じるケースがあります。
特に、国民年金が中心となるパターン2・4・5では、公的年金だけで生活費をまかなうことが難しい場合も少なくありません。
そのため、老後に向けては、公的年金だけに頼るのではなく、預貯金や資産運用などを組み合わせながら、公的年金以外の備えをどのように準備していくかが重要なポイントになるでしょう。
5. 年金受給者の平均額から見る 老後収入の実態と課題
モデルケースだけでなく、実際に年金を受け取っている人全体の平均額を見ると、公的年金の現状がより具体的に見えてきます。
5.1 厚生年金の平均受給月額(全体平均:約15万円)
- 男性平均: 約17万円
- 女性平均: 約11万円
女性の平均受給額が男性を下回る背景には、過去の賃金水準の違いに加え、結婚・出産・育児による離職や、非正規雇用で働いた期間が長いことなどが影響していると考えられます。
また、受給額の分布を見ると、女性は「月8万~10万円」の受給層が多くを占めており、公的年金だけで老後の生活費を賄うことの難しさもうかがえます。
5.2 国民年金の平均受給月額(全体平均:約5.9万円)
国民年金の満額は令和6年度ベースで約6.8万円ですが、実際の平均受給額は約5.9万円となっています。
その背景には、保険料の未納期間や免除期間がある人も多く、満額受給に必要な加入期間などの条件を満たしていないケースが少なくないことがあります。




