株式市場の振り返り-続落。終値でも3日ぶりの17,000円割れ
2016年3月24日(木)の東京株式市場は続落となりました。日経平均株価は前日比▲0.6%の下落、TOPIXも▲0.7%の下落で引けています。一方、東証マザーズ総合指数は+1.2%上昇して4日続伸となりました。
日経平均株価は、NY株式市場の下落などを受けて前日比で小安く寄り付いた後、一時▲156円安となりました。しかし、その後は切り返し、前場は前日比プラスで引けるなど堅調な動きも見せました。ただ、後場に入ってから再び弱含み始め、結局大引けは▲108円安の16,892円で終わっています。終値では3日ぶりに17,000円を割り込む結果となりました。
東証1部で上昇したのは597銘柄、値下がり1,258銘柄、変わらず93銘柄でした。東証1部の出来高は20億103万株、売買代金は2兆1,002億円(概算)となっています。相変わらずの薄商いですが、昨日より僅かながら増加しています。
セクター動向と主要銘柄の動き-11業種が小幅上昇、22業種が下落。資源関連の売りが優勢
東証1部で上昇したのは11業種、下落したのは22業種でした。上昇率上位は、水産・農林+2.0%、空運+1.5%、医薬品+0.9%、その他製品+0.9%などでした。一方、下落率が大きかったのは、鉱業▲4.6%、海運▲3.4%、銀行▲3.1%、卸売▲2.9%などでした。売られた業種の中では、資源関連の下げがかなり厳しかったようです。
個別銘柄では、前日に最終赤字転落となる業績下方修正を発表した三井物産(8031)、同じく赤字転落の観測記事が報道された三菱商事(8058)などの商社株が軒並み大幅下落となりました。また、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)などの銀行株、住友不動産(8830)などの不動産株もほぼ総崩れでした。さらに、東芝(6502)、シャープ(6753)などの電機セクターの低位株も下落しています。一方、しまむら(8227)、良品計画(7453)、ジェイアイエヌ(3046)などの中堅小売株が大幅高となり、ローソン(2651)などのコンビニ株も値を上げました。また、任天堂(7974)も再び上昇しています。
本日のポイントと注目テーマと関連業種-2016年度業績への懸念が高まる中、国内景気対策の恩恵銘柄に注目
24日の東京株式市場は、結果的には前日比▲108円安の続落となりましたが、場中にプラス転換する場面があったこと、最大の懸念事項だった円高進行に(とりあえずは)歯止めが掛かったこと、今後のテーマになると思われる国内景気対策による恩恵銘柄(小売株など)に上昇銘柄が多く見られたこと等から、悲観するような相場状況ではなかったと考えます。もちろん、まだ本格上昇するエネルギーは不足していますが、相場に“動き”が出始めたことは良い傾向でしょう。
2012年にiPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は、そのいくつかの名言の中で、「高く飛ぶためには思いっきり低くかがむ必要があるのです。」というのが有名です。この『高く跳ぶためには低くかがめ(しゃがめ)』は、昔からある言葉であり、山中教授が考案した名言ではありません。しかし、やはり、ノーベル賞を受賞する人が発すると、その重みが増してきます。
今の株式市場に必要なのは、正しく、この『高く跳ぶためには低くかがめ』なのでしょう。ふと気が付くと、22日にブリュッセルで起きた忌まわしいテロ事件以降、やはり、世界の株式市場はリスク回避に動いているように見えます。この動きは、25日(金)以降もしばらく続く可能性があり、当然、日本株にも少なからず影響が出ると考えるのが自然です。しかし、低く屈んだ後には、少なくとも、その揺り戻しに近い上昇は十分期待できます。実際、株式市場には、その“低くかがむ”動きが出始めていると言えましょう。
週末の25日は、特段大きな突発事象がなければ、2017年3月期業績に向けた不安要素がフォーカスされるかもしれません。既に、資源価格下落により、商社やエネルギー関連企業に対しては、懸念が高まる方向にあります。そうした状況の中、繰り返すようですが、政府が実施に踏み切る公算が強い国内景気対策での恩恵銘柄に注目しましょう。引き続き、小売株、不動産株、建設株などに加え、レジャー・アミューズメント株も下値を拾う価値がありそうです。
【2016年3 月24日 投信1編集部】
■参考記事■
>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント
LIMO編集部