僕は勇気を出して、両親に相談しました。
『いっしょに市の中心部に住むのはどう思う?そうしたら、孫はみんなで育てられるし、将来介護が必要になっても安心なんじゃないかと思うんだ。親父も通勤が楽だよ』
母は「そこまで考えてくれているんだね」と喜んでくれました。
「確かに、私たちにこの家は広すぎて無駄が多いので、近くに住んだ方がいいんじゃないかなと思う」と続けます。
なかなか「一緒に住んでほしい」とは言えないのが普通なので、声をかけて良かったのかもと思いました。
しかし、父は違いました。そんな話をする母を一喝。「バカなことを言うな」と。
「お前らには迷惑かけん!」と怒られた
「だいたいお前らは俺たちが何もなってないうちから、何を言ってるんだ?」と、それはもうすごい剣幕でした。
『いや、だからそうならないうちに…』と僕は言い返そうとしましたが、「お前らはよけいなこと気にすんな!お前らには迷惑かけん!」と吐き捨てられてしまいました。
母は「そんなふうに言わなくても」としょんぼり。妻は怒りに震えた表情をしており、僕は「簡単に話し過ぎたのかも…」と1人反省をしていました。
親との同居問題は難しい
僕は両親がどんなリアクションをするか想像ができなかったので、話す前に行きつけの美容師さんに相談しました。
美容師さんは「奥様はすごいですね。普通なら、義両親と住んでもいいなんて言えませんよ。先を見据えて、住んだ方がいいという判断ができるなんて、やさしい方ですね。きっとご両親は将来を真剣に考える姿に喜んでくれますよ」と言ってくれていたのです。
そう簡単にはいきませんでした。父はプライドを傷つけられたと思ったのかもしれません。
妻は「もうどんなに辛い状況になっても、あの父親だけは絶対に助けない!」と顔を赤くして怒りに震えていました。『まあまあ…』となだめる僕。
簡単に問題解決はしないということだけがわかりました。これからも僕たち夫婦は、間違いなく近づくこの問題に気づいているにも関わらず、残念ながらノーガードです。
柳沢 裕也