不正利用問題でスマホ決済の7pay(セブンペイ)から早々に撤退することを余儀なくされたセブン-イレブンですが、冷凍食品の人気はじわじわと広がっているようです。

私もセブンのたこ焼きが美味しいとすすめられて購入してみたところ、1個のサイズが大きく、タコももちろん全部入り、お値段も手頃で、冷凍食品がこんなにも進化していたのかと驚いたものです。そして周囲にその驚きを伝えたところ、意外とコンビニの冷凍食品を活用している人も多く、その浸透度合いを改めて認識することになりました。

そこで今回は、利用している人が多かったセブン-イレブンの冷凍食品について探っていきたいと思います。

コンビニエンスストアの中でのセブンイレブンの立ち位置

セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンという大手コンビニ3社の中で、一人勝ちのイメージがあるセブンイレブン。2020年2月期第1四半期の決算を見てみると、チェーン全店売上高が約1兆2372億円。対して、ファミリーマートは7444億1100万円(単体)、ローソンは5742億6800万円(単体)でしたので、コンビニ大手3社の中ではダントツの売上高です。

セブン-イレブンはセブン&アイホールディングスの売り上げをけん引している存在でもあり、2020年2月期の第1四半期決算補足資料によると、今期予想ではチェーン全店売上が約5兆円。7pay(セブンペイ)の寄与度を見越しての金額とはいえ、その期待度の大きさがわかります。

また、コンビニ3社の中でもセブン-イレブンはプライベートブランド(PB)に強みを持っているのが特徴です。そのオリジナルブランドである「セブンプレミアム」は、同じグループの西武百貨店やイトーヨーカドーなどで販売していることもあり、他のコンビニPBに比べ、より広く認知されていると言えるでしょう。

顧客の潜在ニーズを掴み戦略を練るセブン-イレブン

セブン-イレブンの店舗は日本全国だけでなく海外でも展開されています。その成功の秘訣は、知名度の高さに加え、常に時代のニーズに対応してきたことだと言われています。

たとえば、少子高齢化に合わせた食事宅配サービス「セブンミール」や、手軽に味わえる「セブンカフェ」の100円コーヒーなどは導入時に話題となりましたが、今ではすっかり定着しています。では、冷凍食品浸透の背景はどのようなものなのでしょうか。

まず、内閣府の高齢社会白書をみると、高齢者の単身世帯が年々増えてきていることがわかります(図表1)。また、少し古いデータにはなりますが、セブン-イレブンが出している年齢別の1日1店舗あたり平均客数を見てみると、2004年以降、50代以上の割合が急速に広がっています(図表2)。

まず、これらの統計からは、単身の高齢者層が増えてきたことがコンビニ利用者の拡大につながっているという印象を受けます。

図表1:家族形態別にみた65歳以上の高齢者の割合

出所:内閣府「平成29年版高齢社会白書

 

図表2:セブン-イレブン「年齢別の1日1店舗当たり平均客数」

出所:株式会社セブン&アイHLDGS. コーポレートアウトライン2016

セブン-イレブンによると、2008年に始まった小容量の冷凍食品は、最初は女性の客層の拡大をもたらし、さらに調味料などの販売拡大をもたらしたとのこと。さらに高齢者の単身世帯の増加により、コンビニで食品を購入する平均年齢も上がったのかもしれません。

なぜお弁当や調理パンでなく冷凍食品なのか

冷凍食品のメリットの一つとして、普通の食品ほど賞味期限が短くないということがあります。しかも、セブンの冷凍食品は個食に対応しており、1食分が冷凍食品で完結できるように販売されています。また、組み合わせたり、自分なりのアレンジができるのも冷凍食品の良さでしょう。

さらに、量が多いと買って期待が外れたらもったいないと買うのをためらいがちですが、少量の冷凍食品だとお試し感覚で購入することもできます。価格帯が1つ200円〜500円くらいということも心理的負担を軽くしているようです。もちろん、味に対する満足感も人気の秘密なのでしょう。

セブンプレミアム向上委員会とは?