6. 【65歳以上のリアルな家計収支】毎月いくらの赤字になる?

年金収入の目安がわかったところで、続いて「支出」について見ていきましょう。

総務省の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに、65歳以上の無職世帯のリアルな家計収支を確認します。

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65歳以上の単身無職世帯における家計収支

出所:総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

65歳以上 単身無職世帯の家計収支(2025年)

  • 実収入(主に社会保障給付など): 13万1456円
  • 非消費支出(税金・社会保険料など): 1万2990円
  • 可処分所得(手取り収入): 11万8465円
  • 消費支出(生活費): 14万8445円
  • 毎月の赤字額(差額分): 2万9980円

ここで注意しておきたいのは、収入の大部分を占める年金などの社会保障給付は、全額がそのまま使えるお金として手元に入るわけではないという点です。

現役時代の給与と同じように、年金からも「所得税や住民税」に加え、「介護保険料」や「後期高齢者医療保険料」などの社会保険料が天引きされます。そのため、実際の手取り額(可処分所得)は額面よりも目減りします。

前章で試算した「月額約18万円」のケースでも、仮に10〜15%が引かれると想定すると、実際の手取りは「15万〜16万円前後」に落ち着く可能性が高い点には注意が必要です。

こうして税金等を差し引いた手取り収入よりも生活費が上回るため、単身世帯で約3万円の赤字が発生しているのが平均的な実態です。

熊谷 良子

私自身も「年金って額面がそのまま振り込まれるわけじゃないんだ!」と天引きの多さに驚いた記憶があります。

現役世代の目線で見れば、老後の年金の手取りが減るのはなかなか気づきにくい盲点ですよね。

なかでも特に注意したいのが「介護保険料」です。財務省の資料によると、65歳以上の第1号被保険者が負担する介護保険料(月額)の全国平均は、2026年度で「6225円」となっています。

介護保険制度が創設された2000年度は「2911円(全国平均)」であったため、すでに約2倍にまで負担が膨れ上がっているのです。

さらなる高齢化にともない、介護費用および介護保険料は今後も増加の一途を辿ると予測されています。

老後のマネープランを検討する際は、額面上の年金見込額だけでなく、こうした「右肩上がりで増え続ける天引きの負担」もぜひ心に留めておきたいものです。

7. まとめにかえて

本格的な夏休みの計画を立てるように、ご自身の「老後の人生設計」についても、早い段階から具体的な見通しを立てておくことが重要です。

今回「平均年収600万円・40年勤務」のモデルで試算した通り、年金の目安は月約18万円ですが、手元に残る金額はそれより少なくなります。

統計データが示す「毎月約3万〜4万円の赤字」という現実は、公的年金だけでゆとりある老後を送ることの難しさを浮き彫りにしています。

しかし、必要以上に悲観することはありません。赤字を補うためには、長く働き続ける「勤労収入」に加えて、お金に働いてもらう「資産収入」の柱を作ることが有効です。

特にNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用して、現役時代から計画的に準備を進めれば、将来への不安は着実に軽減されます。

働き方が多様化するいま、一人ひとりの生き方に合った備え方が求められています。今日という日をきっかけに、まずはご自身の年金見込額を確認し、できることから一歩を踏み出してみませんか。

熊谷 良子

働き方が多様化するいま、若いうちから年金や生活費の知識を備えておくことが、「自分らしいキャリア」と「老後の安心」を両立させる武器となりそうですね。

毎月3〜4万円の赤字を埋めるための対策は、人それぞれです。

定年後も無理のない範囲で働き続けて収入を確保したり、今のうちから家計のムダを見直して支出を抑える習慣をつけたりすることも、非常に手堅い対策です。

もちろん、数ある選択肢の一つとして、新NISAなどを活用してコツコツと資産形成を取り入れてみるのも良いでしょう。

大切なのは「必ず投資をしなければならない」と焦るのではなく、ご自身の性格や許容できるリスク、ライフスタイルに合った方法を選ぶことです。

若いうちから視野を広く持ち、自分に一番合った「備え」の形を探してみてくださいね。

参考資料