2. 厚生年金「月20万円以上」支給される人は何割?

おひとりさまの老後を支える中心は、自分の年金です。現役時代の生活を考えれば、「月20万円くらいは年金がほしい」なんて思う方もいるかもしれません。

しかし、老後の年金受給額は個人差が大きいもの。まずは厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、平均額をみてみましょう。

2.1 「厚生年金」男女別平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

2.2 「国民年金」男女別平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金は平均が約6万円となっており、月20万円は超えません。

厚生年金は収入に応じて納める保険料が変わるため、国民年金とは違い老後の受給額に差が出やすくなっています。なお、厚生年金(老齢厚生年金・国民年金分を含む)の受給額が月20万円以上の人は18.8%でした。公的年金だけで月20万円を超えるのは難しいのが実情です。

おひとりさまは年金を基本的に一人分の生活費にあてることになります。会社員として長く働いた人は厚生年金が比較的手厚くなりますが、自営業やパートが中心だった人は国民年金(老齢基礎年金・平均月5万9310円)が主な収入となり、受け取れる額はかなり変わってきます。

まずは、ねんきん定期便やねんきんネットで、自分が受け取れる年金の見込み額を確認しておくことが第一歩です。そのうえで、毎月の生活費との差がどれくらいになりそうかをつかんでおくと、貯蓄でどこまで補えばよいか、現役時代からどれくらい備えておけばよいかが見えてきます。筆者自身も老後資金を考える第一歩として、老後の家計収支の見える化をしています。

宮野茉莉子
筆者は毎年、誕生月にねんきんネットで将来の年金見込み額を確認しています。老後は数十年先だからこそ、計画性とともにモチベーションの維持が大切です。 また、ねんきんネットは働き方にあわせた試算も可能です。年金見込み額を確認した上で働き方の見直しや今後のキャリアを考えたり、「どの金融商品で、毎月いくら」老後資金に備えていくかなど、その時のライフスタイルにあわせて資産形成も見直したりしています。

 

3. まとめにかえて

60歳代おひとりさまの貯蓄は、平均1364万円・中央値300万円で、2000万円以上を持つ人と、蓄えのない人とに大きく分かれていました。年金は、厚生年金で月20万円以上を受け取る人が約5人に1人、また半数は月15万円前後が目安です。収入が基本的に自分の年金だけになるからこそ、早めの準備が安心につながります。

老後資金の対策としては、まず「年金と生活費の差の目安」を具体的な数字でつかむことが大切です。年金の見込み額から毎月の生活費を差し引き、足りない分がいくらかを出してみましょう。その不足額に老後の年数をかければ、貯蓄でどれくらい補う必要があるかのイメージがつかめます。

また、ひとり分の家計を身軽にしておくことも考えたいところ。住居・通信・保険といった固定費は、一度見直すと効果が長く続きます。固定費を考える際、家賃もですが交通費(車は保有するか、しないか。しないなら老後、日常生活でいくらかかるか)などに関しても考えるといいでしょう。

あわせて、いざというときに動かせる預貯金を厚めに確保しておくと安心です。当面使わない資金は新NISAなどの制度で運用を続ける選択肢もありますが、投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、生活防衛資金を残したうえで無理のない範囲で考えたいところです。

一方で、筆者は証券会社で勤務をしていましたが、資産運用の経験は少額でいいので早くからはじめておき、投資に慣れておく大切さも感じています。資金に余裕が出ても、投資経験がないとなかなかはじめられないもの。リスクがありますが、余裕のある範囲で、少額からまずはじめて経験をしてみるのもひとつでしょう。

平均や中央値は、あくまで全体の目安です。まずは自分の年金見込み額を確認し、毎月の生活費との差を書き出してみることから、はじめてみてください。

参考資料

宮野 茉莉子