総務省の家計調査(2025年平均結果)によると、75歳以上の無職・二人以上世帯の保健医療費は月平均1万7213円で、消費支出全体の約7%を占めています。
2025年9月には「窓口負担2割」の世帯を対象とした配慮措置も終了しており、負担増を実感している方が増えているタイミングです。
この記事では、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」の基本的なしくみと、医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)がどのように決まるのか、専門用語をできるだけ使わずに整理していきます。
1. この記事の3つのポイント
-
75歳になると自動的に「後期高齢者医療制度」へ切り替わる -
窓口負担は1割・2割・3割の3段階、判定は世帯の所得で決まる -
高額療養費や食事代の減額制度は、申請しないと適用されないものもある
2. 75歳になったら医療保険はどう変わる?後期高齢者医療制度の基本
後期高齢者医療制度は、75歳以上のすべての人が加入する公的医療保険です。
それまで会社の健康保険や国民健康保険に入っていたかにかかわらず、75歳の誕生日を迎えると自動的にこの制度へ切り替わります。65歳から74歳の人でも、一定の障害があると認定された場合は、本人の申請によって早めに加入することもできます。
制度への切り替えにあたって本人が行う手続きは基本的にありません。ただし、従来の紙の健康保険証は2024年12月2日以降新たに発行されなくなっており、現在は「マイナ保険証」または「資格確認書」で受診する仕組みに変わっています。
2026年8月1日からは交付ルールが変わり、85歳以上の人には「資格確認書」が引き続き自動交付されますが、84歳以下でふだんからマイナ保険証を使っている人(直近1年間に6回以上、かつ直近3カ月以内に利用実績がある人)が新たに75歳になって加入する場合は、資格確認書ではなく「資格情報のお知らせ」が交付されます。マイナ保険証を持っていない人や利用が難しい人には資格確認書が交付されるため、いずれの場合も住んでいる都道府県の広域連合から自動的に案内が届く仕組みです。
2.1 知っておきたいメリットとデメリット
後期高齢者医療制度へ移ることで生じる変化には、良い面と注意すべき面の両方があります。
- メリット:現役世代の3割負担と比べて、多くの人は窓口負担が1割または2割に軽減されます。また、高額療養費制度の自己負担上限額も現役世代より低く設定されているため、長期入院など医療費が重くなりやすい場面でも支出を抑えやすくなっています。
- デメリット:家族の健康保険の被扶養者という立場がなくなり、75歳以上の一人ひとりに保険料の支払い義務が生じます。加えて、一定以上の所得があると、窓口負担は2割、さらには3割へと引き上げられます。
2.2 2026年、保険料の負担はどう変わっている?
保険料は「全員が同額を負担する均等割額」と「所得に応じて負担する所得割額」を合算して決まり、金額は都道府県ごとに異なります。高齢化に伴う医療費の増加を受け、2024年度から2025年度にかけて所得割率や年間の賦課限度額(保険料の上限)が段階的に引き上げられました。年金以外の収入がある人や、所得が一定以上ある人にとっては、以前より保険料の負担感が増していると言えるでしょう。
3. 窓口負担は「1割・2割・3割」判定基準を具体的な数字で確認
後期高齢者医療制度の窓口負担割合は、被保険者の所得水準によって1割・2割・3割の3段階に分かれています。ここで重要なのは、この判定が「本人だけ」の所得ではなく、同じ世帯にいる後期高齢者医療制度の被保険者全員の所得を合算して行われる点です。判定は毎年8月に定期的に見直され、所得の変化や世帯構成の変化があった場合にもその都度更新されます。
3.1 1割:多くの人が該当する標準的な区分
下記の2割・3割の基準に当てはまらない場合は、この1割負担となります。実際、後期高齢者の多数派はこの区分に該当します。
3.2 2割:一定以上の所得がある「一般所得者」
次の①・②の両方に該当する場合に2割負担となります。
- ①同じ世帯の被保険者の中に、課税所得28万円以上の人がいる
- ②同じ世帯の被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、1人の場合200万円以上、2人以上の場合は合計320万円以上
なお、この2割負担については制度開始時に設けられていた負担軽減の「配慮措置」がありましたが、2025年9月末をもって終了しています。
3.3 3割:現役世代並みの所得がある人
同じ世帯の被保険者の中に課税所得145万円以上の人がいて、かつ次の収入基準も満たす場合に、最も高い3割負担が適用されます。
- 被保険者が1人の世帯:本人の収入が383万円以上
- 被保険者が2人以上の世帯:被保険者全員の収入合計が520万円以上
- 被保険者が1人で、世帯に70歳以上75歳未満の人もいる世帯:両者の収入合計が520万円以上
ご自身の負担割合は、後期高齢者医療資格確認書(紙の場合は記載内容、マイナ保険証の場合はマイナポータル)で確認できます。受診前に確認しておくと、おおよその医療費負担を把握したうえで通院しやすくなります。


