1. 個人投資家は、10年、20年という長期的なスパンで投資に取り組める

株式、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)など、資産運用に関心を持つ人が増えています。その一方で「投資は難しい」と考える人も多いようです。「投資はプロがやるもの。素人には無理」という声もあります。本当にそうでしょうか。

確かに、投資信託の運用会社や生命保険、信託銀行、年金基金などの機関投資家には、さまざまな金融商品の投資理論を専門に学んだ人や、特定のセクター(業種やテーマ)に詳しい人がそろっています。

これらはいわゆるプロの投資家と言えますが、個人投資家にはないハンディキャップがあります。それはプロの投資家はいずれも「会社勤め」であることです。

「当たり前だろう」と言われそうですが、プロの投資家は何らかの組織に属し、組織のお金または顧客のお金を預かって投資を行っています。要は自分のお金ではないわけです。

他人のお金を預かって運用しているので、毎年、四半期、毎月といった節目ごとに、組織や顧客に対して運用状況を報告しなければなりません。「毎月決算型」といった商品であれば、毎月「利益を出さなければ」というプレッシャーがあるのではないでしょうか。

直近の利益を確保するために「本当はもっと長期間持っていたいんだけれど」という銘柄を売らざるを得ないこともあり得ると思います。

個人投資家であれば、決算などの締日はありません。値上がりしている銘柄の利を伸ばすこともできるわけです。さらに、10年、20年というスパンで投資に取り組むことができるのも個人投資家の特長であり、大きなアドバンテージと言えましょう。

2. 個人投資家は、自分の得意技で勝負できる

米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、自身が経営する投資会社、バークシャー・ハサウェイ社の株主に宛てた報告書(2013年度版)の中で、以下のように述べています。

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You don’t need to be an expert in order to achieve satisfactory investment returns. But if you aren’t, you must recognize your limitations and follow a course certain to work reasonably well. Keep things simple and don’t swing for the fences. When promised quick profits, respond with a quick “no.”

「十分な投資収益を得るために、あなたが専門家である必要はありません。しかし、あなたが専門家でないとすれば、自分自身の限界を見極め、合理的でうまくいく方法に従うべきです。物事をシンプルにとらえ、ホームランを狙ってはいけません。確実にすぐに儲かるといった話は、すぐに「ノー」と答えることです」(訳は筆者)

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プロの投資家であれば、株式だけでなく、コモディティ、先物、オプション、スワップなどの投資対象や投資手法に精通していなければなりません(それにもかかわらず、年金基金などが、これらのオルタナティブ投資で巨額の資金を消失させた事件も起きています)。

個人投資家であれば「わからないものには投資しない」という判断もできます。自分の得意技だけで勝負すればいいのです。

3. 個人投資家は、複利の効果を十分に生かせる

個人投資家とプロの投資家との違いについて、最後は、個人投資家は複利の効果を生かせることです。

ポイント1とも共通しますが、個人投資家は長い目で投資に取り組むことができます。年利2%でも、約36年で資金は倍になります。毎月、積み立てのように買い増しすれば、それぞれは少額でもトータルでは大きな金額になります。

投資はできるだけ若いときから始めたほうがいいのもそのためです。

【2016年3月30日 下原 一晃】

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下原 一晃