4. 最新の平均寿命は男性が81.35年、女性が87.33年
平均余命とは、特定の年齢の人々が「あと何年生きられるか」を示す期待値です。
そして、私たちがしばしば使う「平均寿命」という言葉は、「(現時点での)0歳の平均余命」を指します。
2026年7月24日に厚生労働省が公表した「令和7年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.35年、女性が87.33年でした。
また、平均寿命の長期的な推移を見ると、男女ともに着実に延びています。
- 昭和30年(1955年) 男63.60 女67.75 男女差4.15
- 昭和40年(1965年) 男67.74 女72.92 男女差5.18
- 昭和50年(1975年) 男71.73 女76.89 男女差5.16
- 昭和60年(1985年) 男74.78 女80.48 男女差5.70
- 平成7年(1995年) 男76.38 女82.85 男女差6.47
- 平成17年(2005年) 男78.56 女85.52 男女差6.96
- 平成27年(2015年) 男80.75 女86.99 男女差6.24
- 令和6年(2024年) 男81.09 女87.13 男女差6.03
- 令和7年(2025年) 男81.35 女87.33 男女差5.98
長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。
4.1 65歳以上の約3人に1人が認知症またはMCI
令和4年度(2022年度)の推計では、65歳以上の高齢者3603万人のうち、認知症と軽度認知障害(MCI)の人数は次のとおりです。
- 認知症: 約443万人(12.3%)
- 軽度認知障害(MCI): 約559万人(15.5%)
認知症と、その前段階とされるMCIを合わせると約1002万人であり、65歳以上のおよそ3人に1人が、認知機能にかかわる症状があると推計されています。
認知症は高齢者にとって身近な問題となっており、MCIの段階から対応することが、その後の生活の質にも関わるでしょう。こうした老後のリスクに備える方法として、終活への関心も高まっています。
平均寿命が延びるほど、老後の期間そのものが長くなり、医療費や介護費、そして認知症への備えも含めて考える期間が伸びるということです。「まだ先のこと」と捉えず、元気なうちから少しずつ準備を進めておくことが、後々のご自身やご家族の安心につながります。
5. 終活やエンディングノートの準備状況は?
【グラフ】終活に対するイメージ(全体・男女別・年代別)

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
長寿化や認知症のリスクを踏まえ、老後に向けた準備として注目されているのが終活です。
NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)」によると、「終活」という言葉の認知度は96.9%にのぼります。
一方、エンディングノートは広く知られているものの、実際の準備は十分に進んでいません。
5.1 エンディングノートの認知度・所有率・実行率
- 認知度:60歳代以上で9割を超える。
- 所有率:70歳代以上が24.2%と最も高いが、50歳代以下は1桁台。
- 実行率(持っている人のうち):20歳代が9割以上書いているのに対し、70歳代以上は約5割にとどまる。
年齢を重ねるほど、記入する項目が増えるほか、「まだ早い」と考えて先送りしたり、体調面の理由で作業が進まなくなったりする可能性があります。
資産の管理方法や医療・介護に関する希望を反映するためにも、気力や体力に余裕がある段階から準備を始めることが重要です。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2,052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル
6. 著者コメント:「自分の場合はどうか」を確認する3つのチェックポイント
ここまで年金・寿命・認知症・終活について見てきましたが、大切なのは「自分の場合はどうか」を具体的に確認することです。まずはねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の年金見込額を確認してみましょう。
そのうえで、公的年金だけで老後の生活費を賄えそうか、不足する場合はiDeCoやNISAなどでどれくらい準備しておく必要があるかを整理します。あわせて、医療・介護が必要になった場合の備えや、ご自身の希望を伝えるためのエンディングノートの準備も、後回しにせず少しずつ進めておくと安心です。
約300組のライフプランニングに携わってきた経験から言えるのは、早く始めた人ほど選択肢が多く、無理のない形で準備を整えられるということです。年金・資産形成・終活のいずれも、「まだ早い」ではなく「今できることから」という視点で取り組んでみてください。
7. 年金の見込額と老後のリスクを確認し、元気なうちから準備を始めよう
本記事では、年金の受給額を左右するポイントや厚生年金の受給額分布、平均寿命、認知症の現状、終活やエンディングノートの準備状況について解説しました。
年金額は、厚生年金への加入期間や現役時代の給与・賞与、保険料の納付期間などによって異なるため、平均年金月額だけで自身の老後収入を判断することはできません。
また、長寿化によって老後期間が長くなる可能性があるほか、認知症やMCIも身近な課題です。
年金の見込額や資産状況を確認するとともに、医療・介護に関する希望や資産の管理方法を、気力や体力に余裕がある段階から整理しておくことが大切です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
- NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
橋本 優理


