3. つみたて投資枠と成長投資枠、どう使い分ける?投資信託選びで「決められない」という悩みに現役IFAが答えた注意点

新NISAで投資を始めた方の中には、「つみたて投資枠と成長投資枠の役割の違いが曖昧で、どちらをどう使えばよいのか分からない」という方も多いです。実際に、次のような声を耳にします。

ご相談者様
つみたて投資枠と成長投資枠があるのは知っていますが、役割の違いがよく分からず、どちらを優先して使えばいいのか迷います。投資信託も、よく聞く全世界株式やS&P500だけでいいのか、話題のテーマ型にも手を広げるべきなのか、選ぶ基準が定まりません。

枠を早く埋めたほうがよいのか、余力を残すべきなのかで迷うという方も多いです。投資信託についても、値動きの大きいテーマ型ファンドの好調な実績を見ると、つい手を広げたくなり、基準が揺れてしまいます。

現役IFAの立場からみると、この迷いは「知識が足りないこと」そのものよりも、「枠と銘柄を選ぶ自分の基準を持てていないこと」から大きくなりがちです。基準がないと、話題の商品や直近の値動きに引っ張られてしまいます。

3.1 枠の使い分けと投資信託選び、3つの注意点

大切なのは、話題性や値動きに反応して動くのではなく、あらかじめ「枠の役割」と「銘柄選びの軸」を決めておくことです。押さえておきたい考え方を3つに整理します。

一つ目は、「つみたて投資枠と成長投資枠を、役割で使い分ける」ことです。つみたて投資枠は、長期・積立・分散に適した投資信託を、毎月淡々と積み立てる土台として使います。一方の成長投資枠は、まとまった資金の投じどころとして、将来の買い場に備えて余力を残しておくという考え方もできます。枠を早く埋めること自体を目的にしないことが、あとからの選択肢を広げます。

二つ目は、「コアとなる銘柄を決め、テーマ型は分けて考える」ことです。全世界株式やS&P500に連動するインデックスファンドが気になっているのであればそちらをコアに考え、話題性などが大きいテーマ型ファンドは、余力を使って一部にとどめておくというのも一つです。テーマ型の好調な実績に魅力を感じても、土台となる資産まで入れ替えないことが、バランスを保つコツです。

三つ目は、「値動きだけではなく、中身で選ぶ」ことです。相場が下がったからと慌てて手放すのではなく、保有している投資信託が、どの国・地域・資産に投資しているのか、費用(信託報酬)はどうかといった中身を確認したうえで、投資をするのかを判断します。話題ではなく中身を軸にすることが、選んだ銘柄と長く付き合う支えになります。

いずれにせよ、リスクがある投資だからこそ、話題性だけで決めるのは危険です。しっかりとなかみを見た上で、長期間もちたいと思える、自分で納得のいく運用を心がけてください。

3.2 元証券会社社員の監修者からアドバイス

宮野 茉莉子(監修)
証券会社で資産運用のご相談を受けていたころ、「どの投資信託を選べばいいのか」で迷う方は本当に多くいらっしゃいました。一つお伝えしたいのは、新NISAのように制度が新たに出たり、変わったりしても、資産形成の土台になる考え方は変わらないということです。旧NISAにくらべれば新NISAは自由度が上がりましたし、昔に比べると投資に関する情報もとりやすくなりました。だからこそ悩みやすいですが、まずはご自身の目的と、無理なく続けられる金額を書き出し、土台となる一本を決めるところからはじめていただければと思います。投資は自己責任だからこそ、自分を軸にして考えて見てくださいね。

参考資料