米トランプ大統領の発言で相場が乱高下

2019年8月30日の日経平均株価の終値は、前日より243円44銭高の20,704円37銭となりました。

前週末は、トランプ米大統領が中国製品への制裁関税を引き上げる方針を示したことを受けて、米ダウ工業株30種平均が600ドル以上も急落。週明け26日の日経平均もこれにつられ、前週末に比べ449円87銭安の20,261円04銭と、今年1月10日以来、約7か月半ぶりの安値で引けました。外国為替市場でも、ドルが売られ円を買う動きが広がり、26日午前には一時、1ドル=104円40銭と、約7か月半ぶりの円高となりました。

このまま週内には2万円割れもあるのではないかと懸念されたところでしたが、トランプ氏が26日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)での記者会見で、中国との貿易協議再開の方針を示したことが好感され、米株が反発、日本株も買い戻されました。

その後日経平均は一進一退の動きでしたが、結局、前週末に比べて6円54銭安と「往って来い」でした。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。トランプ氏は貿易協議再開を示しましたが、米国は9月1日に「第4弾」の制裁関税を発動、中国も対抗措置をとる予定です。今週以降も引き続き、米中貿易摩擦の再燃を警戒し神経質な動きになりそうです。さらに、トランプ氏の言動などで相場が急に動くことがあるので注意が必要です。

市場は、米中の通商交渉問題に加え、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)、中東、カシミール、北朝鮮の地政学リスクなど、ネガティブな材料のほうが多いような状況です。

一方で、大きく下げてもすぐに買い戻されるなど、投資家の間に上値余地を探る動きも感じられます。例年、8月は相場が穏やかで、9月から年末にかけて活況となる傾向があります。30日には東証1部の売買代金が13日ぶりに2兆円を超えました。ぜひ、相場に勢いを取り戻してほしいものです。

なお、今週9月2日月曜日は米国市場はレイバーデーで休日です。3日は米8月ISM製造業景況感指数、6日には米8月雇用統計が発表されます。

小幅にもみ合う展開が続き、方向感が出しづらい

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初26日は窓をあけて大きく下落しました。一時は20,173円と、直近の下値メドである8月15日の安値(20,184円)も割り込みました。

このまま、8月6日の安値(20,110円)も割ってしまうと、7月25日から始まった調整局面で、新たな強い下降トレンドが形成されてしまいます。ところが26日には長い下ヒゲを付けて反発。翌27日も窓を埋めるような動きとなりました。

その後はほぼ動きがなく、ローソク足の実体も短いままでしたが、週末30日には窓をあけて上昇、一時は20,748円と、直近の高値である8月22日の20,731円も回復しました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。ファンダメンタルズ面の悪材料で、下値にトライするもののすぐに反発するという動きからは、目線を上に持っている投資家が多いことが感じられます。今週あたりから上値を試す展開になるのではないかと期待されます。

とは言うものの値幅は大きくありません。直近の底値である8月6日から先週末まで、上下700円ほどの値幅でもみ合っています。上目線で参戦するとしても、本格的な出動は8月9日の高値(20,782円)を超えてからでも遅くはないでしょう。このあたりはちょうど25日移動平均線にも重なります。

逆に下値メドとしては8月6日の安値(20,110円)や、心理的節目となる2万円あたりになるでしょう。

下原 一晃