9月2日は「宝くじの日」です。これは、1967年に宝くじの販売を担っていた第一勧業銀行(現在のみずほ銀行)が制定したもので「く(9)じ(2)」の語呂合せが理由です。当時は、当選しても引き換えられず時効となってしまう宝くじが多いことから、時効防止のPRの為に制定されたとされています。

皆さんの中にも、「年末ジャンボ宝くじ」や「サマージャンボ宝くじ」のような当選金額の大きい宝くじを、毎年、何となく購入している人が少なくないかもしれません。

宝くじ売上収益の約40%が地方自治体の公共事業へ

宝くじは、総務大臣の許可を得た全国地方自治体のみが発行する正式名称「当せん金付証票」であり、その売上収益の約40%は地方自治体の公共事業に使われています。地方自治体財政にとっては、大きな収益源の1つとなっています。

ちなみに、売上収益の残りの内訳は、社会貢献広報費が約1%、印刷代など経費が約12%、当選金支払いが約47%です。この数字通りだとすれば、売上収益の半分弱が当選金として還付されていることになりますが、そのように感じる人は少ないのではないでしょうか。多くの当選者、とりわけ、高額金額の当選者は誰にも言わずに喜びを噛みしめていることになります。

宝くじの売上額は2005年度のピーク時から約▲3割減まで落ち込む

さて、地方自治体財政に必要不可欠な宝くじですが、その売上額の減少傾向に歯止めが掛かっていません。総務省の集計によれば、一昨年度(2017年度)の売上額は7,866億円(対前期比▲6.9%減)に止まり、20年ぶりに8,000億円を割り込みました。前年を下回るのは4年連続です。

また、ピークの2005年度実績である1兆1,047億円から見ると、12年間で約▲29%減少しました。人口減少などにより税収の伸びが期待し難い地方自治体では、既に大きな財政問題になりつつあるのが実態です。

直近実績(平成30年度)はまだ発表されていませんが、大きく回復していることは期待し難いのが実情です。

ここ数年の売上減少の最大要因は、「年末ジャンボ宝くじ」を始めとする“ジャンボくじ”の販売不振のようであり、高額な当選金を設定するだけでは販売回復に結びつかないことを証明しています。

また、一時期は堅調な販売が続いた「数字選択式くじ」(ナンバーズ、ロト等)も減少傾向が鮮明であり、「スクラッチくじ」も大きく減っています。直近2~3年のような減少ペースが続けば、近い将来に6,000億円を割り込んで、前述したピーク時の半分以下に落ち込む可能性は高いと考えられます。

「年末ジャンボ宝くじ」の発売に長蛇の列をなす“歳末の風物詩”が見られなくなる日も遠くないかもしれません。

宝くじ販売不振の最大要因が“年金受給者の増加”というのは本当か?

このまま宝くじは凋落の一途をたどってしまうのでしょうか?