宝くじ売上減「ネット販売で若者離れ対策」は甘い考え?

地方財源への影響も

今後の宝くじ販売回復の最大のカギとなるのが、若年層の需要掘り起こしだと思われます。一部報道によれば、近年の売上額減少の背景の1つに、「主な購入層だった中高年が年金受給者になり、自由に使えるお金が減ったためではないか」という分析が挙げられています。

しかし、これが本当に最大の要因なのかは疑問が残ります。現在の年金受給者の多くは、まだ公的年金の給付額引き下げの影響がほとんどなく、さらに、会社勤めをリタイアしたシニア層は、潤沢な企業年金(厚生年金基金を含む)を受給するケースも少なくありません。シニア層の購買減少の影響は限定的ではないでしょうか?

「スポーツ振興くじ」も昨年度は大幅減少に

むしろ、実質的な所得減少が続いている若年層の影響がより大きいと推察されます。積極的に宝くじを購入している若年層は非常に少ないのではないでしょうか。

宝くじ販売の深刻な販売減が続く一方、相対的に堅調な売上を誇ってきたのが「スポーツ振興くじ」(通称:サッカーくじ、toto等)です。2016年度の売上額は過去最高(約1,118億円)を記録し、2017年度は小幅減(同▲3%減)となったものの、5年連続の1,000億円超えを達成しました。

サッカーくじは公営ギャンブルの1つという位置付けにあるため、宝くじとの単純比較は難しいものの、明らかに異なる売上傾向です。

しかしながら、直近の2018年度実績は948億円(同▲12%減)となり、6年ぶりに1,000億円を割り込みました。依然として高水準にあるとはいえ、スポーツ振興くじに関しても、先行きの不安が露呈した形になっています。

宝くじのインターネット販売は売上回復につながるか?

直近の売上にやや陰りが見え始めたサッカーくじですが、その特徴の1つが、インターネット販売の導入であり、決済もクレジットカードです。これにより、インターネットに慣れている若年層の需要を一定程度は取り込んでいると推測されます。逆に、シニア層でインターネット経由によりサッカーくじを購入している割合は多くないのではないでしょうか。

さて、こうした情勢を踏まえてなのかどうかわかりませんが、昨年10月から「ジャンボ宝くじ」を含めた全ての宝くじに関して(一部例外あり)、インターネット販売が始まりました(注:ロトやナンバーズは既に実施済み)。やや遅きに失した感は拭えませんが、宝くじ販売の低迷打開の切り札になるのか大いに注目したいところです。

まだ正式発表されていない平成30年度(2018年度)の宝くじ売上金額では、このネット販売の効果がどのくらい出ているのかも注目されます。ただし、今後はネット販売が普及して宝くじの売上回復が鮮明になればなるほど、あの“歳末の風物詩”が減ってくると考えられます。

葛西 裕一

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国立大学卒業後、国内・外資系の金融機関にて23年勤務後に独立。証券アナリストなどの職務を経験し、ファイナンシャルプランナー関連等の金融系資格を多数保有。専門は株式投資、貴金属投資、年金、相続、不動産。