2026年も下半期に入り、本格的な夏の暑さが感じられる季節となりました。
夏のボーナスや夏休みに向けた家計管理など、上半期の資産状況を見直している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者はかつて証券会社に勤務しており、ファイナンシャルアドバイザーとして多くのお客様のライフプランに寄り添った資産形成のご相談を受けてきました。
その中で、住まいや老後資金などを一人で準備する必要がある「おひとりさま(単身世帯)」の方々から将来への不安や資産形成に関する疑問の声を数多く伺ってきました。
客観的なデータでご自身の現在地を確認することは、これからのライフプランを考えるうえで参考になるでしょう。
ただし、統計データを見る際には、一部の富裕層によって大きく引き上げられる「平均値」だけでなく、より実態に近い「中央値」を参考にすることが大切です。
そこでこの記事では、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査結果をもとに、30歳代~60歳代までのおひとりさまのリアルな資産額を解説します。
さらに、これまでさまざまな方の資産形成をサポートしてきた経験を踏まえ、「貯蓄ができる人とそうでない人」の行動習慣の違いを分析し、今日から始められる資産形成の具体的なステップをご紹介します。
1. 【年代別】おひとりさま(単身世帯)の貯蓄額はいくら?平均と中央値を比較
金融経済教育推進機構が公表した「2025年家計の金融行動に関する世論調査」を基に、単身世帯の貯蓄事情を年代ごとに確認していきましょう。
平均貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成
1.1 30歳代単身世帯の貯蓄事情:平均501万円、中央値100万円
- 金融資産を保有していない:32.3%
- 100万円未満:14.2%
- 100~200万円未満:14.2%
- 200~300万円未満:4.9%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.8%
- 500~700万円未満:5.5%
- 700~1000万円未満:3.1%
- 1000~1500万円未満:5.5%
- 1500~2000万円未満:4.3%
- 2000~3000万円未満:2.5%
- 3000万円以上:3.4%
- 無回答:3.1%
- 平均保有額:501万円
- 中央値:100万円
30歳代の平均貯蓄額は501万円ですが、中央値は100万円という結果でした。
金融資産を全く持たない層が32.3%を占める一方で、3000万円以上の資産を持つ人も3.4%いるなど、格差が見られます。
1.2 40歳代単身世帯の貯蓄事情:平均859万円、中央値100万円
- 金融資産を保有していない:32.1%
- 100万円未満:15.1%
- 100~200万円未満:7.1%
- 200~300万円未満:5.9%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.2%
- 1500~2000万円未満:1.2%
- 2000~3000万円未満:2.8%
- 3000万円以上:9.9%
- 無回答:2.5%
- 平均保有額:859万円
- 中央値:100万円
40歳代の中央値は100万円で30歳代と変わりませんが、平均額は859万円に増加します。
3000万円以上の金融資産を保有する人の割合は、約1割に達しています。
1.3 50歳代単身世帯の貯蓄事情:平均999万円、中央値120万円
- 金融資産を保有していない:35.2%
- 100万円未満:10.1%
- 100~200万円未満:7.4%
- 200~300万円未満:4.6%
- 300~400万円未満:2.7%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.0%
- 1500~2000万円未満:3.3%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:10.4%
- 無回答:1.9%
- 平均保有額:999万円
- 中央値:120万円
50歳代では中央値が120万円に上がり、平均額も999万円と1000万円に迫ります。
まとまった資産を持つ人がいる一方で、金融資産を保有していない層が35.2%、100万円未満の層が10.1%と、貯蓄が少ない人も一定数存在することがわかります。
1.4 60歳代単身世帯の貯蓄事情:平均1364万円、中央値300万円
- 金融資産を保有していない:30.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:2.4%
- 300~400万円未満:4.5%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.0%
- 700~1000万円未満:4.8%
- 1000~1500万円未満:8.1%
- 1500~2000万円未満:4.1%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:15.6%
- 無回答:2.2%
- 平均保有額:1364万円
- 中央値:300万円
60歳代になると中央値は300万円まで大きく上昇します。
これには退職金や親からの相続などが影響している可能性が考えられます。
平均額は1364万円に達しましたが、金融資産を保有していない人を含めると、約4割が100万円未満という状況です。
2. 貯蓄が多い人と少ない人の違いはどこにあるのか
年代別の平均貯蓄額や中央値を見ると、同世代であっても資産状況には大きな開きがあることがわかります。
この差が生まれる背景には、お金に対する考え方や向き合い方の違いがあるようです。
2.1 違い1. 自身の資産状況を具体的に把握できているか
貯蓄が得意な人と苦手な人では、自分のお金の流れをどれだけ具体的に把握しているかという点で違いが見受けられます。
家計管理を例にとると、収入と支出を可視化すれば「なぜ貯蓄が増えないのか」という原因が明確になります。
これにより、「何にお金を使っているのか」「どの部分を節約できそうか」といった改善点も見つけやすくなるでしょう。
現在の貯蓄総額や毎月の積立額、そして10年後には資産がいくらになるかといった具体的な数字を把握することも重要です。
将来の年金受給見込額については、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認が可能です。
公的年金だけで老後の生活をまかなうのは容易ではないため、ご自身の受給額を把握しておくことが第一歩となります。
2.2 違い2. 「先取り貯蓄」の仕組みを生活に取り入れているか
日々の生活が忙しく、家計管理に時間を割けないという方こそ、「先取り貯蓄」の仕組みを活用することが効果的です。
多くの金融機関では、給料日に指定した金額を自動で別の口座に移して積み立てるサービスを提供しています。
このような仕組みを利用すれば、意識せずとも自然と貯蓄を継続しやすくなります。
2.3 違い3. 資産形成に関する情報を積極的に収集しているか
資産運用にはリスクが伴うため、「自分には難しい」「損をするのが怖い」といった理由で、情報収集そのものを避けてしまう人も少なくありません。
しかし、金融に関する知識があるかないかで、将来の選択肢は大きく変わってくる可能性があります。
まずは関連情報を集め、ご自身で内容を吟味し、リスクを正しく理解したうえで行動を起こすことが大切です。
資産運用はリスクを伴いますが、うまく活用すれば資産を増やすことにもつながります。
お金に関する情報を敬遠するのではなく、少しずつでも知識として取り入れていく姿勢が重要といえるでしょう。
3. まとめ:年代別の中央値を参考に、資産形成の第一歩を踏み出そう
単身世帯の貯蓄データに見られる「平均値」と「中央値」の大きな差は、資産状況の二極化が進んでいることを示唆しています。
平均値の高さに焦る必要はありませんが、ご自身の年代の中央値を一つの目安として現状を把握することは、将来に向けたリスク管理の観点から有益です。
年の後半に向けて、この6月下旬というタイミングで資産形成の計画を見直すために、まずは以下の3つのステップを試してみてはいかがでしょうか。
- 直近3カ月分の銀行口座やクレジットカードの明細を確認し、「毎月の固定費」を算出する(正確な支出額の把握が第一歩です)。
- 給与振込と同時に、一定額が自動で別口座へ移る「定額自動入金」などのサービスを申し込む(「余ったら貯蓄」ではなく、先取りの自動化が鍵です)。
- 新NISAのつみたて投資枠で購入できるインデックスファンドを一つ調べてみる(預貯金だけでなく、少額からでも投資に触れることが知識の向上につながります)。
おひとりさまの生活設計を守るためには、最終的にご自身の資産管理能力が重要になります。
他人の貯蓄額を見て一喜一憂するよりも、まずは口座の自動積立設定を一つ行うなど、具体的な行動を起こしてみましょう。
そうした小さな一歩の積み重ねが、将来の安定につながっていくのではないでしょうか。
※当記事は再編集記事です。