7月に入り、本格的な夏の暑さが続く時期となりました。夏のボーナス支給や上半期の収支確認を経たこの時期は、日々の生活費を見直すとともに、今後の老後資金に向けた資産形成を具体的に検討する適期といえます。

老後資金づくりの王道として注目されるNISA。50歳から65歳までの15年間、毎月5万円を積み立てると、資産はいくらまで育つのでしょうか。

結論からいえば、想定利回り3%なら約1135万円が目安です。本記事では利回り別のシミュレーションを示し、淡々と続けるための心構えまで具体的に解説します。

齊藤 慧
本記事は、編集部が厚生労働省や日本年金機構などが公表する公式資料を確認の上、執筆・検証しています。

1. そもそもNISAとは?運用益が非課税になる制度

NISAとは、投資で得た利益が非課税になる国の制度です。通常、株式や投資信託の運用益には約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座内で得た対象商品の利益には、原則としてこの税金がかかりません。

NISAとは1/3

NISAとは

出所:金融庁「NISAを知る」

2024年に始まった新制度では、年間最大360万円まで投資でき、非課税保有期間も無期限になりました。また、生涯で利用できる非課税保有限度額は1800万円です。

投資枠は2種類あります。長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託を購入できる「つみたて投資枠」と、上場株式や一定の投資信託などを購入できる「成長投資枠」で、両方を併用することも可能です。

投資枠について2/3

投資枠について

出所:金融庁「NISAを知る」

2. 【利回り別】月5万円を15年間続けたシミュレーション

毎月5万円を15年間積み立てると、投資元本は900万円です。ここでは毎月末に積み立て、年率を月割り複利で運用した場合として試算すると、想定利回りごとの最終資産は次のようになります。

  • 利回り1%:(970万円 運用収益70万円)
  • 利回り3%:(1131万円 運用収益231万円)
  • 利回り5%:(1324万円 運用収益424万円)

複利とは、運用で得た利益を再投資し、その利益がさらに利益を生む仕組みです。利回り5%なら、運用益だけで元本の半分近い424万円に達します。

仮に15年間で「2000万円」を目指す場合、必要な毎月の積立額は利回り3%で約8万8000円、5%で約7万5000円です。月5万円との差を見れば、利回りと積立額の両輪が効いてくるとわかります。

3. 相場が動いても「サボらず淡々と」続ける

長期投資で成果を出す最大のコツは、相場がどう動いても淡々と積立を続けることです。シミュレーションの数字は、あくまで「やめなかった人」だけが手にできます。

理由は、人間の心理が投資の判断を狂わせやすいからです。資産が増えると利益を確定したくなり、下落すると怖くなって売りたくなります。どちらの衝動も、長期の複利効果を自ら断ち切る行動です。

たとえば一時的な下落で慌てて売却すると、その後の値上がりを取り逃します。積立投資は安いときに多くの口数を買えるため、下落局面はむしろ仕込みの好機なのです。

長期投資3/3

長期投資

出所:金融庁「資産形成の基本」

長期投資は「世界経済は長い目で見れば成長する」という前提に立っています。だからこそ、目先の価格に一喜一憂せず、決めた金額を機械的に積み立てる姿勢が報われやすいのです。

感情に流されないためには、毎月自動で買い付ける設定にし、口座を頻繁に見ないことも有効です。「サボらず、慌てず」を15年続けられるかどうかが、最終的な資産額を左右します。

4. まとめにかえて

50歳から月5万円を15年間積み立てると、利回り3%で約1131万円が目安になります。NISAは対象商品の売却益や配当金・分配金にかかる税金を原則非課税で、非課税保有期間が無期限のため、老後資金づくりに活用しやすい制度です。

ただし、その果実を得られるのは継続できた人だけです。相場の上下に動じず淡々と積み立てる。このシンプルな習慣こそが、長期投資の成否を分ける鍵になります。

5. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点

齊藤 慧

本記事で解説されているNISAを活用した積立シミュレーションは、50代からの資産形成を検討するうえで非常に有益な判断材料となります。
 

投資信託等を用いた長期の積立投資において、相場の一時的な変動は避けられません。一時的な感情で運用を中断することは、将来の資産形成における複利効果を自ら手放すことにつながります。

老後資金のベースを構築するうえで優先すべきは、日々値動きするスマートフォンの画面を見続けることではなく、ご自身の手取り収入の範囲内に日々の生活費をスリムに収める工夫をすることです。

世間のニュースに一喜一憂せず、決まった金額を淡々と積み立てるという基本セオリーを継続することが、将来のキャッシュフローを安定させる防衛策となるでしょう。

参考資料

柴田 充輝