安定した収入を得て家庭を支えるためには、「非正規雇用」ではなく福利厚生や手当などが保障されている「正社員」が一番良いという考え方は今も主流です。しかし、正社員はアルバイトや派遣社員と違い、責任ももちろん拘束時間も長いのが一般的です。中には労働基準法に則った一日8時間の労働を超過し、残業がある企業も存在しています。
そんな中で、「夫も妻も両方とも正社員である」という家庭は一体どれくらいなのでしょうか。
厚生労働省が発表した17年の「国民生活基礎調査」では、18歳未満の子どもがいる家庭で働いている母親は70.8%、その中で正規雇用されているのは24.7%と、約3分の2が働いていたとしても非正規雇用であるという結果が出ています。
家に帰っても、同じく仕事をして帰ってきた夫は家事を行わない。だから食事の支度や洗濯などの家事、さらには子どもや夫の世話までする、という現実が、世の母親たちがフルタイムで働けない枷になっているのでしょう。
しかし、非正規雇用であるとはいえ、外でも働き、家の中でも働いていれば、一体いつ女性達は休息をとれるというのでしょうか。
日本の政治は男性のもの?遅れる女性議員の進出
国民の暮らしを担う政府においても、男性中心で出来上がっているという現実が浮き彫りになった結果があります。
スイスに本部がある国際組織、列国議会同盟が調査した2019年1月時点の女性議員の割合において、日本は10.2%という結果が出ています。ランクで表せば、対象となる193ヵ国のうち165位という、目に見えて分かる低い順位でした。
これは先進国の中でも最低水準の割合であり、フランスでは39.7%で16位、アメリカでも23.5%で78位などの結果が出ており、先進7カ国の中で100位台は日本だけ、という深刻な状態です。
日本にいる以上、日本の政治について身近に感じることはあっても、日本以外の国の政治に目を向けることは少ないのではないでしょうか。そのため、現在の男性が大半を占めている国会に、あまり疑問を抱かないかもしれません。
しかし、世界全体で見ても、女性議員の割合は増加してきているのです。1995年の11.3%から、2019年1月には24.3%と倍以上に増えていて、世界中で女性達は政治に参加し、国を変えています。
ですが、日本の女性議員の少なさでは、例え、出産や避妊など女性が中心となるような問題を国会で決めるとなっても、話し合いに参加するのはほとんどが男性なのです。割合で言えば10人中9人が男性で1人が女性と言う状態の中で、果たして男女平等な結果が生まれるのでしょうか。
男女関係なく偏りのない社会を作るには
男性が楽をしている、男性だけの意見がすべて通って社会が回っている、と言っている訳ではありません。男性もまた、会社や責任の重圧に押しつぶされ、苦労を重ねているでしょう。
しかし、ここまで見てきて、あまりの男性と女性の境遇の差に愕然としてしまった人も多いのではないでしょうか。
本当の男女平等を生み出すためには、まず女性の意見が反映される機会を作らなければなりません。そのためには、まず、日本を担う中心である政府から変えていかなければならないのではないでしょうか。女性が上げている抗議の声をきちんと聞いて判断できる人材を育て、今までの社会の考え方を払拭し、新しい日本に変えていくための基盤が必要です。
新しい時代の中で、真の男女平等が生まれることを願ってやみません。
【参考】
「専業主婦世帯と共働き世帯」独立行政法人 労働政策研究・研修機構
「女性の活躍推進に関する世論調査」内閣府
「国民生活基礎調査」厚生労働省
「女性議員の割合 日本は165位 先進国で最低水準」NHK政治マガジン
竹橋 彩