お金が貯まらない、お金に余裕がない。そう感じながら日々の生活を送っている人も少なくないのではないでしょうか。お金がなくて将来に向けた貯蓄ができないと、不安を感じるものです。今回は、お金が貯まらない背景と対策について見ていきます。

平均所得金額は下落トレンドに

まずは全体的な平均所得金額について見てみましょう。厚生労働省が公表している「平成28年 国民生活基礎調査の概況」によると、平成27年の1世帯あたりの平均所得は545万4000円となっています(中央値は427万円、545万4000円以下の世帯の割合は61.5%)。

この金額をどう捉えるかは人によると思いますが、注目してほしいのはもっと前の年のこと。同資料にある平成18年の平均所得金額は566万8000円。それ以降、対前年増加率は全体として下落基調です。プラスの年もあるにはありましたが、平均所得金額が10年で20万円以上も減っているのは非常にショッキングなことではないでしょうか。

さらに、同資料によると「貯蓄がない」と答えたのは全世帯で14.9%。約7世帯に1世帯は貯蓄がないまま生活していることになります。これでは将来のことが不安になるのも当然でしょう。

一方で、国の財政難が深刻だとか、世界的に景気が減速しそうだとか言われると余計に不安になるもの。「老後の2000万円問題」が騒がれたのも、国民の多くが将来のお金のことを不安に思っているからなのでしょう。このような状況で、将来のお金を確保する、将来のためにお金を貯金していくにはどうしたらいいのでしょうか。

確実に貯めていける方法を選ぶ

やはりまずはお金を貯めることを習慣づけ、確実にお金を貯めていける方法を選択する必要があります。会社員にとって王道とも言えるのは「勤労者財産形成促進制度」、いわゆる「財形貯蓄」を利用すること。会社のほうでお給料から天引きしてくれるので、貯金する分まで使ってしまった…ということがなくなります。

また、「財形住宅貯蓄」と「財形年金貯蓄」なら、合わせて貯蓄残高550万円まで利子等に税金がかからないため節税効果も期待できるのです。さらに、一部の企業ではありますが、財形貯蓄の利用を促進するため会社独自の給付金がもらえる場合もあります。ここはアテにしすぎないほうがいいですが、確実に貯められて節税効果があるとなれば利用しない手はありませんね。

しかし、この制度がない企業もあるでしょう。代わりにお給料の振込口座を2つ登録することができ、それぞれあらかじめ設定した割合に応じて入金してくれる企業もありますが、それもないとなれば自分でその仕組みを作るしかありません。

その場合は、毎月決まった金額を自動で貯蓄専用口座に振り替えてくれる銀行の自動振替サービスを利用するといいでしょう。銀行によって実施しているサービスの名称や内容が異なる場合があるので、自分にとって使い勝手のいいものを探してみてください。

お金を貯め、増やすための選択肢を広げる