米中が関税報復合戦でダウ平均は大幅に下落

2019年8月23日の日経平均株価の終値は、前日より82円90銭高の20,710円91銭となりました。終値ベースで20,700円を超えたのは8月5日(20,720円29銭)以来です。

ただし力強さは感じられず、総じて小動きでした。先週の値動きは終わり値ベースで147円あまり、最大値幅でも248円あまりしかありません。商いも薄く、23日の東証1部の売買代金は概算で1兆5627億円でした。今月は、節目となる2兆円を割り込む日が珍しくなくなっています。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。先週、投資家の間に積極的な売買が広がらなかった理由の一つは、日本時間23日夜に、連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長のジャクソンホール会議での講演が予定されていたためでした。その内容を見極めたいという投資家が多かったのです。

パウエル議長は講演で、世界景気にさらなる減速が予測されるとして、9月に行われる連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げを示唆しました。

通常であれば、市場は好感を持つところですが、それを打ち消したのはまたもや米中貿易摩擦の再燃でした。中国は23日、米国が9月から発動する「第4弾」の対中追加関税への報復として、原油や農産物などの米国製品約750億ドル分に5~10%の追加関税をかけると発表しました。

トランプ米大統領はこれを受けて、関税をさらに引き上げるといった対抗措置を打ち出すことをツイッターで表明。米国企業に中国からの撤退を促すなど、強く反発しました。

すると投資家の間に米中対立激化の懸念が広がり、23日の米ダウ工業株30種平均は急反落し、前日比623ドル34セント安の25,628ドル90セントとなりました。下げ幅は一時、700ドルを超えています。

日本株にとって心配なのは、これらの動きを受けてドルが売られ円が買われたことにより、円高傾向になったことです。23日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、1ドル=105円30~40銭で取引を終えています。週明けから輸出関連株などが売られる可能性があるので注意が必要です。

「Wボトム」形成失敗なら目線は上に持ちづらい

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末に長い下ヒゲを付けて陽線となったことから、先週は反発が期待されていました。実際に、19日は窓をあけて上昇。翌日以降も窓を埋めることなく、5日移動平均線に下値をサポートされ、堅調な動きでした。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。現状は上下の目線の判断がしづらいところです。まず上目線になるためには、8月9日の高値(20,782円)を超えてほしいところです。そうすると、8月6日の安値(一番底)、8月15日の安値(二番底)のネックラインを超える「Wボトム」が完成します。

ただ、ファンダメンタルズ的には今週初から売り圧力が高まることが予想されます。目線を下に持つ場合のポイントは、8月9日の高値(20,782円)の高値を超えられないというWボトム形成の失敗、5日移動平均線割れなどがあります。ただし、このあたりまでは値幅が小さいので、急な値動きに飛びつくと「ダマシ」に引っかかる可能性もあります。

安全なところでは、8月15日以降の短期の上昇トレンドが崩れる20,500円割れを確認してからでも遅くはないでしょう。ただしその後も、直近の下値メドである8月15日の安値(20,184円)、8月6日の安値(20,110円)あたりでの抵抗力は強そうです。

心理的節目となる2万円を割り込むようであれば目線は下に持っていいと思いますが、それまではもみ合うこともあり得ます。

下原 一晃