梅雨が明け、本格的な夏が近づく季節になりました。

6月は年金の支給月でしたが、物価高の影響で日々のやりくりに頭を悩ませる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、年金の収入額によっては、いつもの年金に上乗せで給付金がもらえる「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存じでしょうか。

この制度は、所得が一定基準を下回る方の生活を支援するための大切な仕組みです。

この記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのかを、最新のデータを交えて詳しく解説していきます。

ご自身が対象になるか、ぜひ確認してみてください。

年金生活者支援給付金制度の概要

「年金生活者支援給付金」は、公的年金などの収入やその他の所得額が基準額に満たない年金受給者の生活を支援するための制度です。

これは一時的な給付ではなく、年金に上乗せして継続的に支給されるものです。

基礎年金の種類に応じて、以下の3種類に分類されます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回は申請が必要ですが、要件を満たす限り、2カ月に1度の頻度で支給されます。

年金生活者支援給付金の支給対象となる要件

基礎年金を受給している方のうち、年金などの収入や所得の合計額が一定の基準を下回る場合に、「年金生活者支援給付金」が支給される可能性があります。

本章では「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件について、3つの種類にわけて解説します。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/14

支給要件

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

はじめに、老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除きます。

※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

障害年金生活者支援給付金の支給要件

障害基礎年金を受給されている方へ3/14

障害基礎年金を受給されている方へ

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」

下記の支給要件をすべて満たす場合、障害年金生活者支援給付金の支給対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額されます)

※ 障害年金等の非課税収入は除きます。

遺族年金生活者支援給付金の支給要件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/14

遺族基礎年金を受給されている方へ

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」

下記の支給要件をすべて満たす場合、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額されます)

※ 遺族年金等の非課税収入は除きます。

最新データで見る年金生活者支援給付金の支給額と件数

厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額は以下の通りです。

2025年3月時点の平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。

※2025年3月において認定されている平均給付金額です。

給付金額別の給付件数は以下のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金:給付金額別の件数

  • 1000円未満:7万5101件
  • 1000円以上2000円未満:31万4450件
  • 2000円以上3000円未満:59万9166件
  • 3000円以上4000円未満:108万2177件
  • 4000円以上5000円未満:103万4357件
  • 5000円以上6000円未満:104万5423件
  • 6000円以上7000円未満:18万5291件
  • 7000円以上8000円未満:9万3265件
  • 8000円以上9000円未満:4万4796件
  • 9000円以上1万円未満:1万9891件
  • 1万円以上:1万524件

障害年金生活者支援給付金:給付金額別の件数

  • 5000円以上6000円未満:149万3700件
  • 6000円以上7000円未満:68万3466件

遺族年金生活者支援給付金:給付金額別の件数

  • 1000円未満:ー
  • 1000円以上2000円未満:607件
  • 2000円以上3000円未満:1569件
  • 3000円以上4000円未満:ー
  • 4000円以上5000円未満:ー
  • 5000円以上:7万5531件

給付金を受け取るための手続き方法

では、給付金を受け取るにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

「手続きを忘れてしまいそうで不安」と感じる方もいるかもしれませんが、年金生活者支援給付金の支給対象と判断された方には、日本年金機構から請求書が送付されます。

基本的には、送られてきた書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了します。

ただし、対象となる方の年金受給状況によって書類の形式や手続きのタイミングが異なります。ここでは、3つのケースに分けて手続き方法を見ていきましょう。

ケース1:これから老齢年金の受給を開始する方(緑の封筒)

まだ年金を受給していない方には、受給開始の3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」が届きます。

このとき、「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。

必要事項を記入し、年金の請求書とあわせて「年金生活者支援給付金請求書」を提出します。ただし、請求書は年金受給開始年齢に到達する誕生日の前日以降でないと提出できない点に注意が必要です。

ケース2:すでに年金を受給中の方(うす緑の封筒)

すでに基礎年金を受給している方も、所得の変動によって新たに年金生活者支援給付金の対象となることがあります。

このような対象者には、毎年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)11/14

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出典:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

必要事項を記入したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載のうえ、切手を貼って投函しましょう。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給中の方(うすだいだい色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用12/14

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出典:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースを見ていきましょう。

年金生活者支援給付金の受給資格が発生すると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

書類が届いたら、必要事項を記入した上で同封の目隠しシールを貼り、切手を貼ってポストに投函します。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

初回の手続きは必要ですが、その後は支給要件を満たす限り継続して受け取ることが可能です。

もし支給要件を満たさなくなった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止となります。

なお、2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた人は、電子申請による提出も可能になっています。

電子申請で提出した場合は、郵送での提出は不要です。

参考:国民年金・厚生年金の平均受給月額

そもそも、現在のシニア世代はどのくらいの公的年金を受給しているのでしょうか。

厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から、国民年金と厚生年金の平均年金月額を確認します。

国民年金の平均月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

厚生年金の平均月額(国民年金を含む)

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

現役時代の働き方や暮らし方によって受給額が決まるため、個人差が大きくなるのが特徴です。

まとめ

今回は、年金生活者支援給付金について、対象となる方の条件や給付額、手続きの方法まで詳しく見てきました。

この給付金は、自動的に支給されるものではなく、基本的にはご自身での申請が必要です。

対象になる可能性のある方には日本年金機構から案内が届きますので、見逃さないようにすることが大切です。

物価の上昇が続くなか、少しでも生活の足しになる制度は積極的に活用したいものです。

ご自身の状況と照らし合わせて、もし対象になるかもしれないと感じたら、まずは年金事務所などに相談してみるのも一つの方法ではないでしょうか。

この記事が、あなたのこれからの暮らしを考える一助となれば幸いです。

参考資料