2. 厚生年金・国民年金の平均月額も男女別でみる

では、老後の平均的な年金額はいくらでしょうか。

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年度)」によると、年金の平均月額は次のとおりです。

2.1 国民年金(基礎年金のみ)の平均月額

  • 全体:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

2.2 厚生年金(基礎年金分を含む)の平均月額

  • 全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

注目したいのは、厚生年金の男女差です。男性16万9967円に対し女性11万1413円と、月額で約5万8500円の開きがあります。一方で国民年金(基礎年金のみ)では男女差が月4000円程度にとどまります。これは、現役時代の働き方――厚生年金への加入期間や標準報酬月額――が老後の受給額に大きく影響しています。

おひとりさまは早くからご自身の受給額がどれくらいかを把握しておくことが、老後資金の前提づくりに役立ちます。

3. おひとりさまは何で備える?

貯蓄と年金月額のデータをふまえて、これからの備え方のポイントを2つの方向からみていきましょう。

3.1 年金額改定と物価上昇のギャップを意識する

2026年度の年金改定では、国民年金+1.9%・厚生年金+2.0%と4年連続の引き上げとなりましたが、物価上昇率3.2%には届きません。実質的には目減りの状態です。

毎月の家計を、額面ではなく控除後振込額(手取り)で把握することは家計を考える基本となります。6月には原則年金振込通知書が届くので、実際の手取り額から、家計収支を考えましょう。

また現役時代のうちから、自身の年金見込み額だけでなく、手取り額も考えて老後の家計や老後資金を考えたいものです。

3.2 おひとりさまは

おひとりさまは世帯収入を分け合う相手がいない分、自分自身の年金額と貯蓄が老後を支えることになります。自身の老後の家計収支の目安を把握した上で、いくら貯蓄が必要なのか、そのためには毎月いくら備える必要があるかなどを具体的に計算してみましょう。

また、お金の置き場所は現役時代も、そして老後を迎えてからも大切です。

これからの資産形成では、預貯金で生活防衛資金を確保したうえで、新NISAなど税制優遇制度の活用も選択肢の一つです。ただし投資には元本割れのリスクがあるため、ご自身の家計や考え方、リスク許容度に合うものを慎重に検討したいところです。

4. まとめにかえて

今回みてきたとおり、おひとりさま70歳代の貯蓄は平均1489万円・中央値500万円。「貯蓄ゼロ」が約2割、「2000万円以上」が約25%と、世帯ごとに差が大きい状況です。年金は厚生年金の男女差が月額で約5万8500円と大きく、現役時代の働き方が老後に表れる構図もうかがえます。

年金額・貯蓄額・手取り――それぞれの数字をひとつずつ確かめ、ご自身の老後設計の土台にしたいところです。

参考資料

宮野 茉莉子