梅雨空が続くこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

スーパーでの買い物など、日々の暮らしの中で物価の上昇を肌で感じる機会が増えましたね。

特に、公的年金で生活をされている方にとっては、少しでも暮らしの足しになる情報が気になる時期かと思います。

実は、年金の収入や所得が一定基準額以下の方を対象に、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存知でしょうか。

この記事では、どのような方が対象になるのか、いくらくらい受け取れるのか、そしてどうすれば申請できるのか、といった年金生活者支援給付金の基本をわかりやすく解説します。

ご自身が対象になるか確認するきっかけにしていただければ幸いです。

齊藤 慧
本記事は、編集部が厚生労働省や日本年金機構などが公表する公式資料を確認の上、執筆・検証しています。

1. 「年金生活者支援給付金」とは?公的年金に上乗せされる制度の基本

年金受給者の生活を支えることを目的に、2019年に年金生活者支援給付金制度が創設されました。

受給要件を満たした対象者には、2カ月に1回、公的年金の支給日にあわせて年金生活者支援給付金が振り込まれます。

年金生活者支援給付金制度について1/8

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金には3種類があり、受給する基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」にわかれます。

それぞれの所得要件を満たす基礎年金受給者が、この給付金の対象となるということです。

2. 年金生活者支援給付金の支給対象となる方の条件とは

年金生活者支援給付金には3つの種類があり、それぞれ所得等の支給要件が設定されています。

「老齢年金生活者支援給付金」・「障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金」にわけて、詳細な要件をみていきましょう。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」を受け取るための支給要件

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件2/8

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の対象者

  • それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く

なお、それぞれの給付金ごとに要件はすべて満たす必要があります。

3. 年金生活者支援給付金はいくらもらえる?最新データから給付金額別の件数を解説

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額を見ていきましょう。

2025年3月時点の平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。

※2025年3月において認定されている平均給付金額です。

給付金額別の給付件数は以下のとおりです。

3.1 給付金額別の支給件数:老齢年金生活者支援給付金の場合

  • 1000円未満:7万5101件
  • 1000円以上2000円未満:31万4450件
  • 2000円以上3000円未満:59万9166件
  • 3000円以上4000円未満:108万2177件
  • 4000円以上5000円未満:103万4357件
  • 5000円以上6000円未満:104万5423件
  • 6000円以上7000円未満:18万5291件
  • 7000円以上8000円未満:9万3265件
  • 8000円以上9000円未満:4万4796件
  • 9000円以上1万円未満:1万9891件
  • 1万円以上:1万524件

3.2 給付金額別の支給件数:障害年金生活者支援給付金の場合

  • 5000円以上6000円未満:149万3700件
  • 6000円以上7000円未満:68万3466件

3.3 給付金額別の支給件数:遺族年金生活者支援給付金の場合

  • 1000円未満:ー
  • 1000円以上2000円未満:607件
  • 2000円以上3000円未満:1569件
  • 3000円以上4000円未満:ー
  • 4000円以上5000円未満:ー
  • 5000円以上:7万5531件

4. 年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続きの方法

「年金生活者支援給付金」は勝手に受け取れるわけではありません。申請が必須となっているので手続き漏れがないように注意しましょう。

ここでは、該当する人が多い2つのパターンにわけて、請求手続きの方法を見ていきます。

4.1 手続きのパターン1:すでに年金を受給中で、新たに給付金の対象となった方

支給対象となった場合6/8

支給対象となった場合

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

  1. 毎年9月の第1営業日から、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。受け取った方は必要事項を記入し、切手を貼って郵便ポストに投函します。
  2. 締切日までに提出すると10月分まで遡って受け取れますが、それ以降になると、請求した月の翌月分からの支給となります。早めの手続きを心がけましょう。

※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた人は、電子申請による提出も可能です。電子申請を行った場合、郵送での提出は不要です。

4.2 手続きのパターン2:これから老齢年金の受給が始まり、給付金の対象にもなる方

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ7/8

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  1. 受給権が発生する3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」が送付されます。こちらに「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
  2. 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出します。

4.3 【注意点】翌年以降の請求手続きは原則として不要

毎年手続きが発生するの?と思う方もいますが、一度請求書を提出すれば、支給要件を満たす限り翌年以降の手続きは原則不要です。

※年金生活者支援給付金は、毎年度、前年の所得情報等に基づき、継続支給の判定が行われます。継続支給の判定結果は、毎年10月分(支払いは12月)から1年間反映されます。

5. 高齢者世帯の生活意識調査:半数以上が「生活が苦しい」と回答

高齢者世帯の半数以上は「生活が苦しい」と感じているというデータがあります。

高齢者の生活意識について調査した、厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に見ていきましょう。

上記調査によると、高齢者世帯の生活意識は以下のとおりです。

5.1 高齢者世帯における生活意識の具体的な内訳

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「苦しい」と感じている世帯(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)の割合は55.8%に達しています。

また、「普通」と答えた人よりも生活が「苦しい」と感じている人のほうが多い状況です。

6. まとめ

本日ご紹介した年金生活者支援給付金は、物価高に苦しむシニア世帯にとって大切な支援金です。

受給手続きをしなければ受け取ることができないため、案内が届いた人は必ず早めに手続きを済ませておきましょう。

2026年度は給付額が引き上げられたので、対象者は年金に上乗せして振り込まれる額を通帳等で確認しておくと良いでしょう。

年金生活者支援給付金以外にも、自治体が独自に実施している支援策などの対象になる可能性があります。

自治体の公式サイト等で最新の情報を確認してみましょう。

7. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点

齊藤 慧

本記事で解説されている『年金生活者支援給付金』は、対象となる方にとって物価高を耐える大切な命綱です。

日本の公的支援の多くは、ご自身で申請のアクションを起こさない限り、自動的に振り込まれることはありません。

だからこそ、記事内で紹介されている『はがきが届いたら早めに返送する』というシンプルなステップの徹底が、もっとも確実な防衛策になります。

また、こうした給付金をあてにして日々の生活水準を上げてしまうのは危険です。国の支援は1円も漏らさず受け取りつつ、ご自身の家計の支出サイズは常に『手取り枠内』にスリムに抑えておく。この賢明なバランス感覚こそが、長い老後生活に揺るがない安心をもたらすでしょう。

参考資料

橋本 優理