時代とともに、名前の傾向は移りゆくもの。最近では、読み方が分かりにくい名前を見かける機会も多くなってきました。

なかでも、ひときわ個性的なものは「キラキラネーム」と呼ばれ、賛否両論の意見が寄せられています。今回はそんなキラキラネームにまつわる考え方や、時代背景との関係性を探ってみましょう。

キラキラネームをつけた親とその子ども、それぞれどう捉えている?

どんな名前であれ、子どもの明るい未来を想って名づけた名前であるはず。実際にキラキラネームを付けた親たちは、批判的な意見をどう捉えているのでしょうか。

・「どうして人がつけた名前を反対するのか理解できない
・「わが子が幸せになるように名づけただけ。他人があれこれ口を挟まないでほしい」
・「周囲に文句をいわれるなんて変な話だ」
・「今は珍しいかもれないが、いつかこういった名前が当たり前になるはず」

自分たちが考えた名前を他人が批判することに、納得できない人も多いようです。では、キラキラネームを名づけられた本人の気持ちも聞いてみましょう。

・「すぐに覚えてもらえる」
・「生まれた時からずっと呼ばれているので、もう慣れてしまいました」
・「初めて自分の名前を伝えたとき、いつも笑われます」
・「マイナスのイメージを持たれてしまう」

名前が印象に残りやすいというメリットは、日常のなかで大きな武器になるのかもしれません。その一方で、相手からの印象や反応に悩んでいる人もいるようです。

名前は時代を表す鏡なのか

名づけ相談を10万人以上から受けた牧野恭仁雄氏は、著書『子供の名前が危ない』のなかで、名前の流行には社会の欠乏感が関わっているケースがあると示しています。

たとえば、戦時中には「勝利」や「勇」が、戦後の食糧難の頃には「茂」「実」など豊作を願った漢字が、そして高度経済成長期の影響で家族の空洞化が進んだ80年代は「愛」という名前がトレンドになりました。各時代の社会が望んでいるものが、名前に反映されているとも捉えられます。

これらを踏まえると、最近のキラキラネームの登場は「私はいったい何者なのか」「何をしたいのか分からない」といった空虚感によるものかもしれない、とも考えられるでしょう。これは、社会がさまざまなリスクに先回りで対処し、幅広い選択肢を用意したことの影響ではないか…と筆者は述べているのです。

近年における子育て事情の変化