クレイジー!? 毎月分配型投資信託の”世にも珍しい”仕組み

待ったなし、日本人の金融リテラシー向上

前回、日本の貿易赤字が減少しているという話を書きました(『日本の貿易黒字が減少中。これはヤバイ!?』)。日本は既に製造輸出立国ではなく、消費と資本輸出でやっていかなければならなくなっていますが、その上で日本人として持っておかねばならないものがあります。それは、金融リテラシー(金融知識)です。

アメリカ人が”クレイジー”と言う毎月分配型投資信託

先日、日本の投資信託市場に関して教えてほしいというアメリカ人に、アドバイスする機会がありました。彼は、かつてよく売れていた米国リート(不動産投資信託)で運用する日本の投資信託の残高が半減しているのはなぜか?という疑問を持っていました。

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以下はそのやりとりです。

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私:確かに3〜4年前まで、毎月分配型投資信託は分配金利回りが年率20%を超えていたため個人投資家にはよく売れた。もっとも米国リートの年間配当利回りはせいぜい4〜5%。分配金利回りと投資対象である米国リートの配当利回りとの差(15〜16%)は、投資信託の“元本”から支払われている。ほとんどの個人投資家はその仕組みを知らないので、米国リート投信を“打ち出の小槌”と勘違いしていた。

アメリカ人:ということは、基準価額はどんどん下がっていくのでは? それって運用なのか?

私:指摘は正しい。だから、設定当初の基準価額(投資信託の価格)は10,000円だったが、今では2,000円台から3,000円台にまで下がっている。元本を払い出し続けた結果だ。

アメリカ人:それはサステイナブル(持続可能)なのか? そうは思わないのだが。

私:残念ながら、こうした投資信託は数年以内になくなるだろう。が、いまでも年間分配金利回りが15%以上の毎月分配型投資信託があるのが驚きだ。

アメリカ人:クレイジーだ。一体どんな運用会社がそんなことしているんだ。基準価額が溶けるのを運用方針としている資産運用会社なんてありえるのかね。

私:それが大手日系、外資系ともやっている。もっとも、まだ残高が大きいのは数社くらい。最近では、残高が増えている毎月分配型投資信託もあるので、状況はひどいね。

アメリカ人:誰がそんな投資信託を買うの? 日本人は金融知識がないのかな?

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筆者は何回もこうした説明をしてきましたが、なかなか資産運用先進国のプロにはわかってもらえません。仕組みとしては理解できても、投資家がなぜそんな不合理なことをするのかがわからないのです。

なぜ、元本を分配金として払えるのか

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太田 創

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。