あじさいの花が雨に映える、本格的な梅雨の季節を迎えました。
新年度が始まって2ヶ月が経ち、新しい生活リズムにも少しずつ慣れてきた頃ではないでしょうか。
2026年度からは年金額も改定され、「自分の年金はいくらになるのだろう」と改めて気になっている方も多いのではないでしょうか。
特に60歳代を迎え、セカンドライフを考え始めると、年金収入は生活の大きな柱となります。
この記事では、公的年金の基本的な仕組みから、2026年度の最新の年金額、そして60歳代から90歳代までの世代別のリアルな平均受給額や分布まで、さまざまなデータを基に詳しく解説していきます。
ご自身の状況と照らし合わせながら、将来の生活設計の参考にしていただければ幸いです。
1. 日本の公的年金制度、その基本構造とは
はじめに、日本の公的年金の仕組みについてご説明します。
公的年金は、社会の基礎を支える「国民年金」と、その上乗せ部分である「厚生年金」で構成される2階建ての構造になっています。下の図をご覧いただくと、その関係性がイメージしやすいかと思います。
1階部分の国民年金には、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入義務を負います。国民年金保険料(※1)は、所得にかかわらず全員が同じ金額を納めます。
2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員など、企業や官公庁に勤務する方が加入対象です。こちらは毎月の給与や賞与の額に応じて保険料(※2)が決まるため、将来受け取る年金額も個人によって差が出るのが特徴です。
では、将来の年金受給額はどのようにして決まるのでしょうか。
国民年金(老齢基礎年金)は、保険料の納付期間が40年(480カ月)に達すると、65歳から満額(※3)を受け取れます。もし保険料を納めていない期間があれば、その月数に応じて年金額が減額される仕組みです。
一方、厚生年金(老齢厚生年金)の額は、加入していた月数と、現役時代に納めた保険料の総額によって決まります。基本的には、加入期間が長く、収入が高かった人ほど、より多くの年金を受け取れることになります。
※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円です。
※2 保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円です。
2. 【2026年度】年金額の改定内容と具体的な受給額例
公的年金の受給額は、毎年の物価や賃金の変動を反映して、年度ごとに改定が行われます。
日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」によると、2026年度は2025年度と比較して、国民年金(老齢基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなりました。
2.1 国民年金・厚生年金の具体的な受給額モデル(2026年度)
- 国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分):月額7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金満額を含むモデルケース):月額23万7279円(前年度比+4495円)
※昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金の満額は、月額7万408円(前年度比+1300円)です。
※厚生年金の金額は、平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)を得ていた夫が40年間勤務し、妻が専業主婦であった世帯が65歳から受け取り始める場合の給付水準です。
3. 厚生年金と国民年金の受給額、リアルな分布を解説
多くの方が気になる「厚生年金」と「国民年金」の平均的な受給月額はどのくらいなのでしょうか。
ここでは、厚生労働省の公表資料を基に、60歳から90歳以上の全受給権者を対象とした「平均年金月額」と、受給額ごとの「人数分布」を見ていきましょう。
3.1 厚生年金の平均受給月額(男女別)
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金部分を含んだ厚生年金の平均受給月額は以下の通りです。
- 〈全体〉平均:15万289円
- 〈男性〉平均:16万9967円
- 〈女性〉平均:11万1413円
3.2 厚生年金受給額の分布状況(1万円ごと)
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基にした、受給額別の人数分布は以下のようになっています。
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円~2万円未満:1万4137人
- 2万円~3万円未満:3万5397人
- 3万円~4万円未満:6万8210人
- 4万円~5万円未満:7万6692人
- 5万円~6万円未満:10万8447人
- 6万円~7万円未満:31万5106人
- 7万円~8万円未満:57万8950人
- 8万円~9万円未満:80万2179人
- 9万円~10万円未満:101万1457人
- 10万円~11万円未満:111万2828人
- 11万円~12万円未満:107万1485人
- 12万円~13万円未満:97万9155人
- 13万円~14万円未満:92万3506人
- 14万円~15万円未満:92万9264人
- 15万円~16万円未満:96万5035人
- 16万円~17万円未満:100万1322人
- 17万円~18万円未満:103万1951人
- 18万円~19万円未満:102万6888人
- 19万円~20万円未満:96万2615人
- 20万円~21万円未満:85万3591人
- 21万円~22万円未満:70万4633人
- 22万円~23万円未満:52万3958人
- 23万円~24万円未満:35万4人
- 24万円~25万円未満:23万211人
- 25万円~26万円未満:15万796人
- 26万円~27万円未満:9万4667人
- 27万円~28万円未満:5万5083人
- 28万円~29万円未満:3万289人
- 29万円~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上:1万9283人
厚生年金の全体の平均月額は15万289円ですが、男女別に見ると男性が16万9967円、女性が11万1413円と、約6万円もの差があることがわかります。
3.3 国民年金の平均受給月額と金額別の分布
続いて、国民年金の平均受給月額です。厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、結果は以下の通りです。
- 〈全体〉平均:5万9310円
- 〈男性〉平均:6万1595円
- 〈女性〉平均:5万7582円
3.4 国民年金受給額の分布状況(1万円ごと)
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基にした、国民年金の受給額別人数分布です。
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円~2万円未満:21万3583人
- 2万円~3万円未満:68万4559人
- 3万円~4万円未満:206万1539人
- 4万円~5万円未満:388万83人
- 5万円~6万円未満:641万228人
- 6万円~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上:299万7738人
国民年金の平均月額は全体で5万9310円でした。男女別では男性が6万1595円、女性が5万7582円と、厚生年金ほどの大きな差は見られません。
最も人数が多いボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」の層であり、多くの方が満額に近い年金を受け取っている状況がうかがえます。
4. 高齢者世帯の所得実態、平均額とその内訳
次に、高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」を確認してみましょう。ここでは、厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参照します。
この調査では、高齢者世帯を「65歳以上の人のみで構成されるか、または65歳以上の人と18歳未満の人で構成される世帯」と定義しています。
4.1 高齢者世帯における平均所得の全体像
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の平均総所得は年間で314万8000円です。続いて、その所得の内訳と割合を見ていきましょう。
4.2 所得構成に見る高齢者世帯の家計状況
- 稼働所得:79万7000円(全体の25.3%)
- うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
- 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
- 財産所得:14万4000円(4.6%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円(0.6%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:18万9000円(6.0%)
このデータを月額に換算すると、約26万円の所得のうち、約3分の2にあたる約16万6000円が「公的年金」で占められています。その次に大きいのが、仕事による収入である「雇用者所得」で、月額約5万5000円です。
この結果から、高齢者世帯の家計は公的年金を主な収入源としつつ、就労による収入で補っている実態が浮かび上がります。
※雇用者所得とは、世帯員が勤務先から受け取った給料、賃金、賞与の合計額を指し、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。
5. 国民年金の受給額を増やす「付加年金」という選択肢
近年、働き方が多様化し、フリーランスや自営業者など、厚生年金に加入しない働き方を選ぶ人も増えています。
しかし、将来受け取る年金が国民年金のみの場合、老後の収入が比較的少なくなる傾向にあります。
そこで今回は、国民年金の受給額を増やすための一つの方法として、「付加保険料の納付(付加年金)」についてご紹介します。
付加年金とは、毎月の定額の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に加えて「付加保険料(月額400円)」を上乗せして納めることで、将来受け取る年金額を増やせる制度です。
5.1 付加年金に加入できる対象者
- 国民年金の第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
5.2 付加年金の対象外となるケース
- 国民年金保険料の納付を免除(法定免除、全額免除、一部免除)または猶予(納付猶予、学生納付特例)されている人
- 国民年金基金に加入している人
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は同時に加入することが可能です。ただし、iDeCoの掛金額によっては併用できない場合があるため、注意が必要です。
5.3 40年間、付加保険料を納付した場合のシミュレーション
仮に、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納め続けた場合のシミュレーションをしてみましょう。
65歳以降に上乗せされる「付加年金額」は、「200円 × 付加保険料を納めた月数」で計算できます。
- 40年間で納める付加保険料の総額:19万2000円(400円 × 480カ月)
- 65歳以降に毎年受け取れる付加年金額:9万6000円(200円 × 480カ月)
40年間の保険料総額は19万2000円ですが、毎年9万6000円が年金に上乗せされるため、単純計算では2年間で元が取れることになります。
6. まとめ
今回は、公的年金の仕組みから2026年度の最新情報、そして年代・男女別の平均受給額まで、幅広く解説しました。
平均額や分布データを見て、「思ったより少ない」「自分は平均より多い」など、さまざまな感想を持たれたかもしれません。
大切なのは、こうした客観的なデータを通じてご自身の年金額の立ち位置を把握し、今後のライフプランを具体的に考えることです。
公的年金は老後の生活を支える重要な基盤ですが、それだけで十分とは限らないケースも多いのが実情です。
もし、国民年金の受給額を少しでも増やしたいとお考えなら、今回ご紹介した「付加年金」のような制度の活用を検討してみるのも一つの方法です。
まずはご自身の「ねんきん定期便」などを確認し、将来受け取れる金額を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。





