2026年も6月に入り、各自治体から住民税の決定通知書が発送される時期となりました。

あわせて日本年金機構からも『年金額改定通知書』や『年金振込通知書』が順次ご自宅のポストに届き始めている頃かと思います。

今年度の公的年金はプラス改定となりましたが、いよいよ今月15日(月)に迫った初回振込を前に、「税金や介護保険料の天引き額も更新されて、結局手元に残るお金はあまり増えていない気がする」と、物価高のなかでのやり繰りに不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

そんな実質的な手取りの目減りが気になる今だからこそ、生活防衛の要として確認しておきたいのが、ベースとなる年金とは別に用意されている「上乗せ制度」の存在です。

該当すれば毎月の収入を底上げしてくれる心強い味方ですが、この制度には「国から届く書類を使って自ら申請アクションを起こさないと、1円も受け取ることができない」という重要なルールがあります。

本記事では、ご自身が支援の枠組みに入るかどうかの境界線をはじめ、最新の統計から見るリアルな受給ボリューム、そして手元に届く封筒の色に応じた窓口手続きのステップを詳しく解説します。

1. 毎月の振込額にプラスアルファ!基礎年金と一緒に振り込まれる支援制度の全体像

年金生活者支援給付金制度について1/11

年金生活者支援給付金制度について

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は、公的年金に加えて受け取れる給付金のことです。

主に以下の3つの種類に分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

これらの給付金は、老齢・障害・遺族それぞれの基礎年金を受け取っている方で、公的年金などを含めた所得が一定の基準を下回る場合に、2ヶ月に1度支給されます。

2. 年金生活者支援給付金を受け取れる人の条件

それでは、具体的にどのような条件を満たせば給付金を受け取れるのか、詳しく見ていきましょう。

2.1 障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者

まず、「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の対象となるのは、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給している方です。

加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。

この所得の計算では、障害年金や遺族年金といった非課税の収入は含まれない点がポイントです。

また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額が引き上げられることも覚えておくとよいでしょう。

2.2 老齢年金生活者支援給付金の対象者

年金生活者支援給付金制度について2/11

年金生活者支援給付金制度について

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

一方、老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税である
  • 前年の公的年金などの収入とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である

老齢年金生活者支援給付金の場合、ご本人の所得だけでなく世帯全体の状況も要件に含まれる点に注意が必要です。

こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

また、所得が基準額をわずかに超えてしまい給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度も設けられています。

この補足的な給付金の対象となるのは、「昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方」、または「昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の方」です。

3. 【2025年3月時点】年金生活者支援給付金の平均額と給付件数

厚生労働省が公表した『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を基に、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額を見ていきましょう。

2025年3月時点での平均給付月額は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円となっています。

※この金額は2025年3月時点で認定されているものです。

給付金額ごとの給付件数は、以下の通りです。

3.1 老齢年金生活者支援給付金の金額別件数

  • 1000円未満:7万5101件
  • 1000円以上2000円未満:31万4450件
  • 2000円以上3000円未満:59万9166件
  • 3000円以上4000円未満:108万2177件
  • 4000円以上5000円未満:103万4357件
  • 5000円以上6000円未満:104万5423件
  • 6000円以上7000円未満:18万5291件
  • 7000円以上8000円未満:9万3265件
  • 8000円以上9000円未満:4万4796件
  • 9000円以上1万円未満:1万9891件
  • 1万円以上:1万524件

3.2 障害年金生活者支援給付金の金額別件数

  • 5000円以上6000円未満:149万3700件
  • 6000円以上7000円未満:68万3466件

3.3 遺族年金生活者支援給付金の金額別件数

  • 1000円未満:ー
  • 1000円以上2000円未満:607件
  • 2000円以上3000円未満:1569件
  • 3000円以上4000円未満:ー
  • 4000円以上5000円未満:ー
  • 5000円以上:7万5531件

4. 日本年金機構からの重要書類を見逃さないで!パターン別に見る請求手続き

給付金を受け取るためには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

年金生活者支援給付金6/11

年金生活者支援給付金

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

「手続きを忘れてしまいそうで不安」と感じる方もいるかもしれませんが、基本的に、支給対象となる方には日本年金機構から請求に関する書類が送付されます。

多くの場合、送られてきた書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了しますので、ご安心ください。

ただし、年金の受給状況によって書類の形式や手続きのタイミングが異なりますので、3つのケースに分けて確認していきましょう。

4.1 ケース1:これから老齢年金の受給を開始する方(緑の封筒)

まだ年金を一度も受け取っていない方には、受給が始まる3ヶ月ほど前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が届きます。

その際に、「年金生活者支援給付金請求書」も一緒に封入されています。

必要事項を記入し、年金の請求書と併せて提出しましょう。

ただし、これらの請求書は年金の受給開始年齢に達する誕生日の前日以降でないと提出できない点にご注意ください。

4.2 ケース2:すでに年金を受給中の方(うす緑の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒8/11

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出典:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受け取っている方でも、所得額の変動などによって新たに給付金の対象となることがあります。

そうした方々に向けて、毎年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)9/11

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出典:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入したら、同封されている目隠しシールを貼り、差出人欄にご自身の住所と氏名を書いて切手を貼り、ポストに投函すれば手続きは完了です。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、A4サイズの請求書と所得状況届が送付されます。

4.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方(うすだいだい色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用10/11

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出典:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースです。

給付金の受給対象になると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

書類が届いたら、必要事項を記入し、目隠しシールを貼って切手を貼り、ポストに投函してください。

※このケースでも、支給要件に該当するか確認できない方には、A4サイズの請求書と所得状況届が届きます。

最初の年は手続きが必要ですが、一度手続きをすれば、その後は支給要件を満たしている限り自動的に給付金を受け取ることができます。

もし所得が増えるなどして支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止されます。

なお、2025年1月以降に65歳になった方で、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた場合は、電子申請も可能です。

電子申請で提出した場合は、郵送での手続きは不要です。

5. 現役時代の加入期間や職業で差がつく厚生年金の金額

厚生労働省の『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、公的年金の平均受給月額は、国民年金(老齢基礎年金)が5万9310円、厚生年金(国民年金部分を含む)が15万289円です。

ただし、これはあくまで平均額であり、実際の年金受給額は人によって大きく異なる点に注意が必要です。

特に現役時代の働き方によって受給額が変わる厚生年金では、その差が顕著に現れます。

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数11/11

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出典:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

「厚生年金に加入していれば安心」と思われがちですが、実際には月々の受給額が30万円を超える方もいれば、1万円に満たない方もいるなど、その範囲は非常に広くなっています。

ご自身の年金収入とその他の所得を合わせても、所得が一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。

6. まとめ

定年退職後のお財布事情は家庭によって大きく異なります。

老齢年金の受給額は、国民年金加入者か厚生年金加入者か、また厚生年金加入者の中でも現役時代の収入によって差が生まれます。

まずは収入と支出を正確に把握し、利用できる公的制度は最大限活用することが大切です。

今回ご紹介した老齢年金生活者支援給付金も、シニア世代を支える制度のひとつです。

対象者には通知が届きますので、受給手続きを忘れずに行いましょう。

その他、自治体ごとに独自の支援策を設けている場合もあります。

困ったことがあったら、自治体の担当窓口に相談してみることをおすすめします。

参考資料

橋本 優理