2. 【iDeCoと退職金】2026年1月スタート「10年ルール」で何が変わった?

ここからが本記事の重要なポイントです。2025年度(令和7年度)税制改正により、iDeCoと会社の退職金を別々の年に受け取る場合のルールが見直されました。施行は2026年1月1日からで、受け取るタイミングによっては退職所得控除が縮小してしまう可能性があります。

2.1 変更:「5年あければOK」が「10年」へ。控除フル活用するための注意点

財務省「令和7年度税制改正の大綱」では、退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoなどの老齢一時金を受け取っていた場合、退職所得控除の計算で「勤続期間等の重複排除の特例」の対象になると明記されました。これまでは「前年以前4年内」だった条件が改正後は「前年以前9年内」へ拡大されています。

つまり、iDeCoを先に一時金で受け取り、その後に会社の退職金を受け取る人は、これまで「5年あければ両方の控除をフル活用できた」ものが、改正後は「10年あけないと控除が削られる」設計に変わったということです。

2.2 具体例:60歳でiDeCo→65歳で退職金のケースで控除がどれだけ減るか

40歳から20年間iDeCoに加入し、30歳から会社に35年勤続している人が、60歳でiDeCoを一時金1000万円、65歳で退職金2500万円を受け取るケースで比べてみます。

旧ルール(〜2025年12月)なら、5年あけているため両方とも控除をフル活用できました。退職金側の控除は勤続35年で1850万円(800万円+70万円×15年)。退職金2500万円との差額は650万円、その2分の1の325万円が課税対象です。

新ルール(2026年1月〜)では、5年しかあけていないため「9年内」に該当し、iDeCo加入期間と会社勤続期間が重なる20年分の控除(800万円)が退職金側から差し引かれます。

退職金の控除は1850万円-800万円=1050万円に縮小。退職金2500万円との差額は1450万円、課税対象は725万円になります。

課税対象が400万円増えるため、所得税で約80万円・住民税で約40万円、合計約120万円ほど税負担が重くなる計算です。受け取り間隔をあと5年あけて10年にすれば、この差は発生しません。

2.3 逆順なら影響は限定的:「会社の退職金が先、iDeCoが後」のケース

順番を入れ替えて「会社の退職金を先、iDeCoの一時金を後」で受け取る場合は、従来から「19年ルール」と呼ばれる重複排除の規定が適用されており、こちらは令和7年度改正でも変更されていません。

受け取る順番ひとつで控除枠の温存しやすさが変わるため、自分のiDeCo加入期間と退職予定年齢を踏まえてシミュレーションしておきましょう。