6月は年金支給日がありますが「老後の生活費、年金だけで足りるのかな…」そんな不安を抱える方もいるかもしれません。会社員や公務員、一定の条件を満たしてパートで働く人がもらえる「厚生年金」。実は、もらえる額には驚くほどの個人差や地域格差があります。

今回は最新のデータをもとに、厚生年金のリアルな受給額の分布や、住む場所によって「月4万円」も差がつく理由を、初心者向けにわかりやすく解説します!

1. 【厚生年金】年金月額「10万円以上~20万円未満」1000万人超で全体の6割を占める

会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たす人は、老齢厚生年金+老齢基礎年金(国民年金)の併給となります。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全受給権者(※2)の平均年金月額は15万289円でした。

ただし、男女差・個人差があり、実際に受け取る金額は一人ひとり違います。

※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介

〈全体〉平均年金月額:15万289円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金部分を含む

1.1 厚生年金受給額「10万円ごと」分布

  • 10万円未満:305万3974人(約19.0%)
  • 10万円以上~20万円未満:1000万4049人(約62.2%)
  • 20万円以上~30万円未満:300万8390人(約18.7%)
  • 30万円以上:1万9283人(約0.1%)

※合計受給者数:1608万5696人

このように、厚生年金は幅広い受給額層に分布していますが、全体の6割以上(62.2%)の人が「10万円以上~20万円未満」の間に収まっています。また、毎月20万円以上受給できている人は、全体で見ると約18.8%(約5人に1人)と少なめです。

2. 【厚生年金】平均年金月額ランキング「多い・少ない都道府県」トップ5!

厚生年金の平均受給額は、都道府県で差があります。では、平均年金月額が「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこなのでしょうか。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、ランキング形式で見ていきましょう。

2.1 厚生年金の平均年金月額が「高い」都道府県【上位5都県】

  • 神奈川県:17万457円
  • 千葉県:16万5103円
  • 東京都:16万3892円
  • 奈良県:16万2292円
  • 埼玉県:16万1752円

2.2 厚生年金の平均年金月額が「低い」都道府県【上位5県】

  • 青森県:12万8129円
  • 沖縄県:12万8819円
  • 宮崎県:12万9224円
  • 秋田県:12万9503円
  • 山形県:13万1169円

都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額2/3

都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

都道府県別の平均年金月額において1位の神奈川県と47位の青森県では、その差は月額4万円以上になります。年間で考えると50万円を超えるため、地域ごとの格差は小さいとはいえないでしょう。

もちろん、厚生年金の受給額は住んでいる場所で決まるわけではありません。この差は、厚生年金受給額がどのように決まるかに理由があります。

3. 【厚生年金】受給額の決まり方「現役時代の2つのポイント」

厚生年金の受給額の計算には、現役時代の報酬(給与や賞与)と、年金加入期間が使われるため、個人差が出やすいしくみです。厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式の合計で決まります。

  • A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

つまり、「現役時代にどれだけ高いお給料で、どれだけ長く会社員として働いたか」がそのまま年金額に直結します。

都市部(東京や神奈川など)は賃金水準が高いため、必然的に将来もらえる年金額も高くなります。また、地域によって「自営業が多い地域」「共働き世帯が多い地域」といった働き方の特色が異なることも、都道府県ごとの平均額に差が出る理由です。

4. まとめにかえて

老後の収入源となる「年金」については、多くの人が不安や悩みを抱えており、さまざまな対策が注目されています。例えば、NISAやiDeCoといった非課税制度の活用に加え、国民年金の上乗せ制度や保険などがあります。

まずは、ご自身が住んでいる都道府県の平均年金月額を把握しましょう。また、自分が将来どのくらい年金を受け取れるか知りたい人は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の活用がおすすめです。

ねんきん定期便は、毎年、誕生月に日本年金機構から郵送されます。一方、ねんきんネットを利用するには、

  1. マイナポータルとの登録連携
  2. ねんきんネットのユーザID取得を取得する方法

のいずれかで登録が必要になります。「知る」ことが、安心な老後を迎えるための第一歩です。まずは手元のねんきん定期便やスマホから、ご自身の年金予測をチェックしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

長井 祐人