「嫁」と「妻」、一見ほとんど同じ意味をもつように感じる2つの言葉。しかし、なかには「嫁」という言葉に違和感がある人もいるようです。その理由を探ると、「女性のあり方」にたどり着きました。そこで今回は、女性をめぐるさまざまな価値観について考えてみましょう。

家制度を連想させる「嫁」という言葉

かつて、日本には「家制度」が存在していました。これは、武士階層における家父長制のような考えを受け継いでいるもの。嫁は他人の家に嫁ぎ、男の子を出産し、家を継がせる役割を担っていたのです。

このような背景から、「嫁」と聞くと「家制度」をイメージする人も少なくありません。戸籍上の「妻」に比べ、「夫婦関係が不平等」「夫や子、義両親に人生を捧げる」といった印象を受けてしまいます。

その結果、「あくまで夫と結婚しただけであって、夫の家や両親と結婚したのではない」「嫁と呼ばれると、夫側の所有物になった気分だ」と受け取る人も。これまでの経緯を踏まえると、「嫁」という呼び方に抵抗を感じるのも無理はないのかもしれません。

「母親らしさ、妻らしさ」の重圧

「嫁」という言葉以外にも、女性が違和感をもつ場面はいくつも存在します。たとえば、「母親らしさ」や「妻らしさ」を周囲から押し付けられること。その具体例をみてみましょう。

・「もとからヒールを履いていなかったのに、『妊娠したからヒールは避けているんだね』といわれた。前々から好きだったグレープフルーツを食べていると、『やっぱり妊娠中は食べたくなるよね』と決めつけられることもありました」

・「赤ちゃんと一緒に外出していると、知らない人から『母乳なの?』と聞かれたことがあります。その後も『やっぱり母乳よね、偉いわ』と返され、なんだか圧力を感じました。まるで、良妻賢母であることが当然といわれている気分です」

・「結婚してからというもの、『女性は家のことをするべき』『夫の健康も気遣わなければならない』『夫に育児を手伝ってもらったら感謝すべき』といった価値観の押し付けを感じます。世間は、『良き妻』を強く求めているのだなと実感しました」

「自分らしさ」を維持するために