新緑が目に鮮やかな5月上旬、大型連休が明けて日常が戻ってきました。

しかし、物価の上昇は続いており、年金で生活されている方にとっては家計への影響が気になる時期かもしれません。

公的年金だけでは生活費が心もとないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、年金の収入や所得が一定の基準を下回る方を対象に、年金に上乗せして給付金が支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。

この記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどのように進めるのかを、3つの種類に分けて具体的に解説します。

ご自身やご家族がこの制度の対象になるか、ぜひ一度確認してみてください。

1. 年金生活者支援給付金とは?公的年金に上乗せで支給される制度の仕組み

年金生活者支援給付金制度は、年金を受給されている方々の生活を支援するため、2019年から開始された制度です。

この制度では、受給要件を満たした対象者へ、2カ月に1度、公的年金の支給日にあわせて給付金が支給されます。

年金生活者支援給付金制度について1/10

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金には3つの種類があり、受給中の基礎年金に応じて「老齢」「障害」「遺族」のいずれかが支給される仕組みです。

つまり、それぞれの基礎年金を受け取っている方のうち、所得などの要件を満たす場合に給付金の対象となります。

2. 【種類別】年金生活者支援給付金の支給対象となる要件

基礎年金を受給している方で、年金を含む収入や所得の合計が一定の基準を下回る場合、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

ここでは、給付金の具体的な支給要件を「老齢」「障害」「遺族」の3種類に分けて見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の受給条件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/10

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金は、次の要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下であること(※2)

※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は、ここでの収入金額には含まれません。

※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、および昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円を超え90万6700円以下の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の受給条件

障害基礎年金を受給されている方へ3/10

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金は、以下の支給要件を両方とも満たす場合に支給対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金などの非課税収入は所得に含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の受給条件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/10

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金を受け取るには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

3. 最新データから見る年金生活者支援給付金の支給額と件数の実態

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を確認します。

2025年3月時点のデータ(※)によれば、平均給付月額は老齢で4146円、障害で5727円、遺族で5228円です。

※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。

給付金額ごとの支給件数の内訳は、以下のようになっています。

3.1 老齢年金生活者支援給付金:給付額別の支給件数

  • 1000円未満:7万5101件
  • 1000円以上2000円未満:31万4450件
  • 2000円以上3000円未満:59万9166件
  • 3000円以上4000円未満:108万2177件
  • 4000円以上5000円未満:103万4357件
  • 5000円以上6000円未満:104万5423件
  • 6000円以上7000円未満:18万5291件
  • 7000円以上8000円未満:9万3265件
  • 8000円以上9000円未満:4万4796件
  • 9000円以上1万円未満:1万9891件
  • 1万円以上:1万524件

3.2 障害年金生活者支援給付金:給付額別の支給件数

  • 5000円以上6000円未満:149万3700件
  • 6000円以上7000円未満:68万3466件

3.3 遺族年金生活者支援給付金:給付額別の支給件数

  • 1000円未満:ー
  • 1000円以上2000円未満:607件
  • 2000円以上3000円未満:1569件
  • 3000円以上4000円未満:ー
  • 4000円以上5000円未満:ー
  • 5000円以上:7万5531件

4. 年金生活者支援給付金を受け取るための申請手続きについて

ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続きについて解説します。

すでに公的年金を受給している方で、新たに給付金の支給対象となった場合、日本年金機構から請求書を兼ねた案内が送付されます。

4.1 手続きの流れ①:すでに基礎年金を受給中の方

年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー8/10

年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内リーフレット」

  • 毎年9月の第1営業日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
  • 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から同請求書が届いた方は、電子申請も利用可能です。
  • 電子申請を利用しない場合は、請求書に必要事項を記入し、切手を貼って投函します。

なお、支給要件に該当するかどうかの確認が取れない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が送付されます。

次に、これから年金を請求する方の手続きの流れを見ていきましょう。

4.2 手続きの流れ②:これから老齢基礎年金を請求する方

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ9/10

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  • 65歳になる3カ月前に送付される「年金請求書(事前送付用)」に、給付金の請求書が同封されています。
  • 必要事項を記入の上、受給開始年齢の誕生日前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

※障害または遺族の年金生活者支援給付金の対象者で、初めて基礎年金を請求する方は、給付金の請求書が自動では郵送されません。

年金の請求手続きと同時に、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口にて給付金の請求手続きを行う必要がありますのでご注意ください。

4.3 給付金の支給日はいつ?

年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支給されます。

15日が土日や祝日の場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されることになります。

例えば、10月に支給されるのは8月分と9月分の2カ月分です。

支給先は年金と同じ受取口座ですが、通帳には年金と給付金が別々に記載されます。

5. 注意点:公的年金の受給額は個人差が大きい

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均受給月額は国民年金(老齢基礎年金)で約5万9310円、厚生年金(国民年金部分を含む)で約15万289円となっています。

ただし、年金の受給額は現役時代の働き方などによって個人差が非常に大きい点に注意が必要です。

特に厚生年金では、その差が顕著に表れます。

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数10/10

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

「厚生年金に加入していれば多くの年金がもらえる」と思われがちですが、実際には月額30万円以上を受け取る方がいる一方で、月額1万円に満たない方もおり、受給額は広範囲にわたります。

このため、年金とその他の所得を合計しても所得が一定基準以下になる場合は、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。

6. まとめ

この記事では、年金生活者支援給付金について、制度の概要から支給要件、給付額、手続き方法までを解説しました。

この制度は、公的年金などの収入が一定基準額以下の方の生活を支えるため、年金に上乗せして支給される重要な給付金です。

ご自身の年金の種類(老齢・障害・遺族)に応じて、所得や世帯の状況が要件に合致するかどうか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

新たに支給対象となった方には、日本年金機構から請求書が郵送されるため、見逃さないようにしましょう。

もし不明な点があれば、給付金専用ダイヤルや最寄りの年金事務所へ相談してみるのも一つの方法です。

ご自身の状況を正しく理解し、利用できる制度を有効に活用していくことが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部年金班