突然ですが、令和という時代は、根本的に資産形成の考え方が変わっていく時代だと考えています。

昭和・平成時代は、日経平均株価が市場最高値(3万8,915円/1989年12月29日)を付けたと同時に、その最高値以後での最安値(7607円/2003年4月28日)をつけた、株価としてはまるでジェットコースターに乗っているかのような時代でした。

昭和30年代から40年代にかけての高度経済成長の時代は、まさに怖いものなし。人口は増えるわ、生産力は上がるわ、輸出は絶好調。挙句の果てに、昭和が終わろうとしているときにバブルまで連れてきて、平成元年になってみごとに崩壊。とまあ、栄耀栄華を極めたものの、その後は奈落に沈んだ戦後数十年でした。

低金利が続く令和時代

翻って、令和時代は日本が変化するとともに、世界も大きく変わっています。

まず金融面ですが、世界的に低金利が続きます。理由の一つは、先進国経済が低成長となって、結果的に低インフレ経済となっていることがあげられます。かつて年間4000%にも達するハイパーインフレで悪名をはせたブラジルでさえ、中銀の政策金利は年6.5%まで低下し、いまや市中銀行の定期預金金利も4%台です。もはや二桁金利は望むべくもありません。

もう一つの理由は経済全体の効率化の追求です。

たとえば、アマゾンやグーグル等の登場で何が変わったかというと、利便性でしょう。アマゾンに頼めば、重いものでも軒先まで運んでくれます。それもほぼ全ての商品です。筆者は生鮮食料品等を除いて、ほとんどアマゾンや楽天で買い物をしています。

これを価格という面で考えると、販売価格に運賃が含まれている分、そのモノの価格は下がっていることになります。わざわざ交通費をかけて買い物に行っていたものが、スマホで事足りるわけです。消費者にとっては価格も抑えられ、足を運ばなくてもいいのは助かりますが、価格が容易に上げられないうえに、交通費もかからない低インフレ社会が続くわけです。

加えて、いまどき“世界百科事典セット全40巻”なんて買う人はいないでしょう。筆者の子供のころは一家に1セット、ごっつい百科事典があったものですが、いつのまにか調べ物はグーグルになってしまいました。知識を買うコストでさえデフレになっています。

図表1:日本の定期預金金利の推移

出所:日本銀行のデータより、筆者作成。注:定期預金金利は預入金額3百万円未満の1年定期預金の金利。

コンマ以下%にこだわるか、グローバルにこだわるか

図表1は過去20年間の定期預金金利の推移ですが、みごとに0%近くにへばりついています。もっとも日銀が市中の銀行に払う金利はマイナスですから、個人預金金利はまだマイナスでないだけマシといえるかもしれません。