日差しに少しずつ夏の力強さが混じり始め、本格的な暑さへの備えを意識し始める5月後半。

昨今の長引く物価高に加え、これからの季節は冷房代などの光熱費の負担も気になり始めるからこそ、年金生活における「基本の生活費」を正確に把握しておくことが切実なテーマとなっています。

特に「老後の生活には一体いくら必要なのか」「みんなはどのくらい貯蓄があるのだろう」といった疑問は、多くの方が抱く共通の関心事です。

この記事では、65歳以上の夫婦世帯における平均的な家計の姿を、公的な統計データをもとに紐解いていきます。

ご自身の状況と照らし合わせながら、将来の生活設計のヒントとしてお役立てください。

1. 65歳以上の無職夫婦世帯における家計収支の実態

「老後の生活費」について具体的にイメージしてみましょう。総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」家計収支について解説します。

1.1 夫婦のみ無職世帯(65歳以上)の家計収支内訳

毎月の収入額(65歳以上の夫婦のみ・無職世帯)

  • 収入合計:25万4395円
  • うち社会保障給付(主に年金):22万8614円

毎月の支出額(65歳以上の夫婦のみ・無職世帯)

  • 消費支出:26万3979円
  • 非消費支出:3万2850円

支出合計29万6829円

この世帯の毎月の収入は25万4395円で、その約9割にあたる22万8614円が年金などの社会保障給付です。

一方で支出は、生活費にあたる消費支出が26万3979円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万2850円で、合計すると29万6829円となります。つまり、毎月約4万2000円の赤字です。

1.2 エンゲル係数から見る生活水準:消費支出に占める食費の割合

消費支出の内訳を見ると、食費が約3割(29.9%)を占めています。これはいわゆる「エンゲル係数」にあたり、生活水準や家計の余裕度を見る指標としてよく使われます。

また、住居費や光熱費、医療費などの固定的な支出も一定の割合を占めており、年金だけで生活する場合は家計が赤字になりやすい状況が見えてきます。