余裕資金を投資に使う人が増えている~投資志向が特に強まった年代は?

ミレニアルズの特徴は趣味の重視

フィデリティ退職・投資教育研究所が2010年から行っている「サラリーマン1万人アンケート」の設問の中で、余裕資金があった場合の使い道について聞いています。2018年の調査結果をみると、余裕資金がある場合に優先的に使う先は、「貯蓄」(42.7%)、「旅行」(17.9%)、「趣味」(16.2%)、「投資」(14.9%)の順となっています。これを2015年の結果と比較すると、「趣味」で0.8ポイント、「投資」で1.2ポイント上昇していることがわかります。

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この2時点での比較を、男女別、年代別に比較分析したのが下の表で、2015年よりも2018年の調査で選択した人の比率が高くなっているセグメントを青で表示しています。

まず特徴として挙げることができるのは、20-30代と40-50代で余裕資金の使い道の変化に差があるということです。男性、女性ともに余裕資金を「趣味」に使う人が20-30代を中心に増えており、40-50代はこれを減らしています。同様に「旅行」についても、男性の20-30代はその志向を強めて、40-50代と違う特徴を見せています。

男女、すべての年代で「貯蓄」から「投資」へと志向が変わりつつある

もう一つ注目できる特徴は「貯蓄」と「投資」の関係です。依然として余裕資金の使い道として「貯蓄」を上げる人は、男女ともにどの世代でもトップですが、女性はすべての世代で2015年よりも2018年の方がその比率は低下していますし、男性でも20-30代では「貯蓄」を選ぶ人が減っています。唯一増えているのは40-50代の男性のみという状況です。

一方で、2018年の結果で、余裕資金の使い道として「投資」を上げる人の比率は、男女ともにすべての年代で、2015年の結果に比べ増加しました。「貯蓄」から「投資」への志向の変化がうかがえる結果といえそうです。

なかでも男性では20代の変化が大きくなっています。20代男性の「貯蓄」と「投資」の志向の差異は2015年では18.0ポイントありましたが、2018年には10.3ポイントに縮まっています。女性のこの差異は男性に比べて大きいのですが、それでも20-30代では30ポイント台前半にまで縮まってきました。

また女性では30代が「投資」を志向する比率は12.5%と2ケタに達し、他の世代に比べて高いことがわかります。女性は30代が投資に対して他の世代よりも前向きな度合いが大きいのが特徴です。

全体を通じて「余裕資金の使い道」に対する志向を分析して言えることは、「投資」に対するイメージが変わりつつあり、それが特に20-30代を中心に起き始めているという点でしょう。

余裕資金の使い道は (単位:%)

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出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート、2015年、2018年
注:余裕資金の優先的な使い道には上記のほかに「ファッション代に充てる」と「その他」があったが回答比率が低いため除外。青の網掛けは2015年と比較して2018年の調査結果が増加しているセグメントを示す。

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フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所 所長 野尻 哲史

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野尻 哲史
  • 野尻 哲史
  • フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所
  • 所長

国内外の証券会社調査部を経て、2007年より現職。アンケート調査をもとに個人投資家の資産運用に関するアドバイスや、投資教育に関する行動経済学の観点からの意見を多く発表している。
日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。
著書には、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』、『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書)や『貯蓄ゼロから始める安心投資で安定生活』(明治書院)などがある。
調査分析などは専用のHP、資産運用NAVIを参照