2019年7月11日に行われた、いちご株式会社2020年2月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:いちご株式会社 代表執行役社長 長谷川拓磨 氏
2020年2月期 第1四半期サマリー
長谷川拓磨氏:みなさん、こんにちは。本日はいちごの第1四半期の決算カンファレンスコールにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、決算説明資料に基づいて説明させていただきたいと思います。
まず、お手元の資料の7ページをご覧いただければと思います。2020年2月期の第1四半期のサマリーでございます。当社が大事にしているストック収益の固定費に対するカバー率でございますが、第1四半期においては214パーセントとなっています。その(円グラフの)右側にストック収益の成長と書いていますが、前年同期比と比較して、1年間で約5パーセントの成長でございます。
各セグメント別のストック収益の増減につきましては、この後のセグメントの業績のところで詳しく説明させていただきたいと思います。その他、サマリーにおいて、心築の売却の進捗、自社株買い、本日(2019年7月11日)発表させていただいた件、そしてアニメという新しい事業への参画も、この後に説明させていただきたいと思います。
営業利益+43%、純利益+34%、EPS+37%(前年同期比)
8ページ、第1四半期の業績でございますが、営業利益が85億3,700万円、経常利益が76億700万円、そして純利益が47億6,800万円となっています。この数字は、前年同期比で、営業利益がプラス42.5パーセント、純利益は34.4パーセント増となっています。通期予想の進捗で申し上げますと、純利益で30パーセント強の進捗で、順調に第1四半期のスタートを切っています。
各セグメントにおける損益内訳
9ページをご覧ください。セグメント別の収益でございます。
アセットマネジメント事業でございますが、ストック収益に関しては、(前年同期比で)運用フィーが9パーセントの増でした。心築に関しては、賃料収入がメインのストック収益で5パーセントの増、売却益を中心としたフロー収益に関しては66パーセント増で、第1四半期での売却による収益が大きく出た期でございました。
クリーンエネルギー事業についてはマイナス3パーセントとなっています。これは当社のクリーンエネルギー事業で4割を占める昭和村の売電開始になったタイミングの問題で、2017年9月に売電が開始になっているため、その意味で通期での事業税がかかってきたのが今期からになりますので、そのぶんが前年同期と比較して少し多くコストがかかったところでございます。
クリーンエネルギーの売上に関しては、前年同期比でプラスとなっていますので、売電が開始になっている案件が着々と増え、ストック収益という意味ではトップラインは増えているところをご了解いただければと思います。
特長① ストック収益とフロー収益の融合
11ページをご覧ください。いちごの収益モデルというところで、これは毎回説明させていただいていますが、当社のストック収益とフロー収益のご説明となります。
今期に関しては、売上総利益ベースで、全体で338億円を見込んでいます。進捗で申し上げますと、第1四半期で102億9,500万円で、32パーセントぐらいの進捗となります。今期が4分の1終わったところですので、順調な滑り出しと言えるでしょう。
特長② 将来収益の着実な拡大
12ページをご覧ください。当社は心築事業をメインにさせていただいていますが、この心築事業での価値向上による、当社が持っている案件の含み益を表現したものでございます。
今回、ここに表記している含み益は鑑定ベースとなりますが、6年を通して順調に含み益を増加させてきていることがご覧いただけるかなと思います。前期末で510億円ぐらいの含み益があります。
特長③ 含み益を超える売却益を継続的に実現
13ページです。この含み益が、実際に売却したときにどういったかたちで実現しているかが表現されています。毎年申し上げているのですが、だいたい鑑定の含み益に対して2倍から2.5倍ぐらいの実質的な利益が毎年着実に出ている状況です。
今期の第1四半期に関して申し上げますと、含み益に対して実際の利益は2.9倍出ています。売上総利益ベースの率で言いますと29パーセントで、こちらも高い粗利率を実現できており、それがこの第1四半期の売却の実績でございました。
特長④ 高いキャッシュ創出力
14ページです。長期ビジョンでも謳っていますが、当社は今回、エコノミック営業キャッシュフローをしっかりと捉えて事業を展開していこうと考えています。当期利益を超えたキャッシュフローを常に創出していくことを意識して、あくまでも利益がキャッシュを創出しているという「裏付けに基づいた利益」というところをしっかり意識して事業を進めてまいります。
強固な事業モデルを支える盤石な財務基盤
心築事業を支える財務でございます。今期、引き続きファイナンス環境は良好でございます。当社の借入の平均期間は9.8年と、ほぼ10年であり、残存期間の平均も7.5年です。また、調達コストに関しても引き続き私どもにとっては良好な環境で、ファイナンスの状況も引き続き当社にとっては追い風という状況でございます。
借入金の無担保化による財務基盤のさらなる強化
今回は、財務上のトピックスがございます。2018年9月に実行させていただいていますが、今期にもう1回、みずほ銀行さまを中心とするシンジケート団と無担保のコミットメントラインを締結できています。2018年の金額と合わせると約200億円の無担保のコミットメントラインを設定させていただきました。
このコミットメントラインは買う不動産を特定しないため、当社の心築というコア事業の物件取得の自由度が大変高まります。ファイナンスによる制約なく物件の取得ができるという意味で、今回も私どもにとってはありがたいファイナンスを実施していただいています。
AM:いちごの上場投資法人への成長サポート
ここからは、セグメント別のトピックスについて説明させていただきます。18ページをご覧ください。
アセットマネジメント事業でございますが、まずオフィスリートは、Jリート最長の18期連続の増配を実現できています。スポンサーのサポートとしましては、資産の入れ替えに伴って1物件……これは博多の大変立地のいいオフィスでございますが、こちらを物件として提供させていただいています。
ホテルリートでございますが、2018年に完全成果報酬型のフィーを導入しています。株主のみなさんと同じ目線で私どももしっかり運用していきたいという意図で、ホテルリートに関してはそういったフィー体系を導入させていただいています。こちらも資産の入れ替えに伴って、今回は熊本のホテルを1物件、提供させていただきました。
心築:心築ノウハウの活用による厳選した取得と売却
心築事業の進捗でございます。先ほどの業績のところでも申し上げましたが、不動産市況の活況を背景に、この第1四半期は順調な滑り出しを実現しています。
あらためて申し上げると、物件の粗利は約30パーセントで、売却についても大変順調でございます。物件の取得と売却の進捗でございますが、第1四半期は物件の取得が約200億円。売却は195億円で、ほぼ200億円ですので、物件の取得と売却は同じぐらいの水準です。
200億円の内訳を簡単に申し上げますと、約半分がレジデンシャルになっています。このレジデンシャルの取得は、主にいちごオーナーズによる物件の取得でございます。その次にオフィス、そしてロジスティクスの物件を取得しています。
第2四半期、第3四半期においても、引き続き物件の取得は順調に推移しており、第2四半期の物件取得はだいたい400億円ほどになると思っています。
心築:1Q売却物件の心築事例(商業ビル)
心築の事例を説明させていただきます。20ページですが、原宿駅至近のオフィスビルのバリューアップの心築事例でございます。
この案件は保有して5年の案件でございます。買った当時はワンテナントのオフィスビルの取得でしたが、テナントさんが出ていくことが前提でしたので、テナントさんの入れ替えでリーシングをして売却していくストーリーでございました。
結果的に、テナントさまに退去いただいた後にオフィスと商業施設、そのテナントミックスで100パーセント稼働させています。
今回、物件を売却しましたが、売上総利益ベースで52パーセントで、ほぼ買った物件の価格の倍ぐらいの値段で売れています。先ほどの鑑定の含み益と実際に売った利益の考え方でみると、鑑定ベースで3倍、粗利では50パーセントを超える粗利率で、私どもとしては大変いい事例でございました。
心築:1Q売却物件の心築事例(ホテル)
ホテルの心築事例でございます。この案件の保有期間は3.5年で、案件としては熊本のホテルでございました。本物件について、私どもとしては、まずADRが20パーセント上がったところが……当社のレベニューも含め、テナントさまの努力もあって、まずトップラインが2割上がったところでございます。
それに加えて、LED等々の省エネの設備更新に投資したことにより、NOIは30パーセントの上昇です。物件の売却によって、結果的には売上総利益ベースの粗利率でいくと約3割の粗利率を実現できています。これ以外にも、多数の心築の実績によって、第1四半期においては大変高い利益率を獲得できています。
心築:海外における価値向上のベストプラクティスの研究
22ページをご覧ください。今回、海外における心築の事例を2つほど紹介させていただきます。
まず1つは、米国のホテルのポートフォリオへの投資の案件です。投資してちょうど1年ぐらいの案件でございましたが、これは上場を予定しているブリッジファンドへのメザニン投資でございました。結果的には1年ちょっとで、粗利としては4割ぐらいの粗利を獲得することができています。
海外の不動産投資において、当社はまだ本格的に進めているというよりも、まずは海外で展開できるかどうか検証中です。今回はこういったポートフォリオのメザニン部分の投資のご提案をいただいたため、海外に向かって私どもの心築が展開できるかどうかということで、私どもとしてはチャレンジの1つとして今回投資をさせていただいています。これ以外にも、同じく5億円ぐらいのメザニン投資をさせていただいています。
続きまして、セルフストレージの海外展開です。「ストレージプラス」という当社のストレージ事業がございますが、今回は台湾のオペレーターさまで「Easy Storage Taiwan」という会社さまの株式を49パーセント取得させていただいています。日本同様、台湾も大変ストレージのニーズが高まっていまして、年間で約10パーセントぐらいのストレージ増加が進んでいます。
当社といたしましては、日本で展開している「ストレージプラス」の事業を台湾に展開していきます。また、台湾のストレージのニーズ……もっと言うと観光客のニーズ等々をうまくクロスボーダーで取り込んだビジネスモデルも合わせて、今回の提携の中で実現していきたいと考えています。
クリーンエネルギー:順調な発電開始によるストック収益の成長
クリーンエネルギー事業についてです。今期、クリーンエネルギー事業の売電が開始になる案件でございますが、2018年と比べて2倍強の26メガワットの売電開始を予定しています。
セグメント別のところでも見ていただきましたが、ストック収益について、今期はあまり数字は寄与していません。今期売電開始になる発電案件6物件のうち8割が11月以降の売電開始となり、冬場ということもありますので、売電開始になった11月から2月の4ヶ月のストック収益の寄与は、来期、通期でしっかりとプラスに効いてくるところでございます。
クリーンエネルギー:大幅な規模拡大(開発中発電所+94%)
24ページでございます。当社の新規のクリーンエネルギー事業の進捗でございますが、今回新たに2つの発電所が稼働になりました。そして、新たに1つ、開発が確定した案件がございます。それによって、2023年2月期においては173.8メガワットまで成長しています。
博多ホテルズ設立 ホテル運営事業開始
長期ビジョンで「サステナブルインフラのいちご」とで謳っていますが、その新規事業についてのトピックスをいくつか紹介させていただきます。今回、当社はホテルオペレーション事業に参画いたしました。
博多ホテルズという会社を設立させていただき、九州・山口県を中心としたホテルオペレーションを展開させていただきます。現在ホテルオペレーションとしては3ホテルでございますが、2019年8月までの間に7つのホテルのオペレーションを私どもが行います。
また、今まで説明させていただいていましたが、レベニューマネジメントのAIシステムの開発が終わっています。現在のところ、当社の保有する案件で15物件ほど、このシステム導入が決まっています。まずは私どもが保有している案件のオペレーターさまにAIシステムの営業活動をさせていただいて、その後、リートのホテルオペレーターさまにも紹介させていただこうと考えています。
一度、私どもが保有している案件で使っていただきます。そのホテルのオペレーターさまは、私どもが保有していないホテルですが、他にもいろんなホテルでオペレーションされていますので、そちらへの導入も進んでいくといいなとも考えています。まずは当社の保有しているホテルでしっかりと成果を出して、そこから拡販を目指していけたらと考えています。
いちごアニメーション設立 アニメと様々な業種業界の連動
今回いちごは、いちごアニメーションという会社を設立させていただきました。当社のサステナブルインフラで、建物から人へと主役をシフトしていくという考えのもと……アニメーションは日本独自の文化でございますが、それと不動産、インフラをどうコラボさせるかというところで、今回はアニメの制作にチャレンジさせていただいています。
『ぶらどらぶ』という題名のアニメーションですが、世界的にも有名な押井守総監督、西村純二監督が製作します。私どもとしては、アニメと商業施設(をつないで)、AKIBAカルチャーズZONEという商業施設でコラボを実現してまいりたいと思っています。
これから、アニメについてはいろんなプロモーション等々も行ってまいりますので、また決算発表のなかで、みなさまに進捗をご披露させていただきたいと思っています。
仮想×現実のリアルワールドゲーム「TSUBASA+」への出資
もう1つ、新しい事業の取り組みをさせていただいています。
今回、『TSUBASA+』という位置情報ゲーム……ポケモンのゲームもそう呼ばれていますが、この位置情報ゲーム、リアルワールドゲームの制作への出資を決定させていただいています。『キャプテン翼』という、サッカーが好きな少年の漫画がアニメ化されていますが、このアニメをゲーム化していくプロジェクトに出資させていただきました。
今回、このゲームへの出資は、リアルワールドゲームと言うぐらいですので、リアルワールドゲームと不動産は親和性が高いと考えています。『ポケモンGO』もいろいろなイベントでかなりの集客を創出できるのがわかってきています。
『キャプテン翼』は世界で放映されていて、世界の方々が見られているものでございます。この『キャプテン翼』は日本のみならず、世界中で有名でございますので、『ポケモンGO』と匹敵するぐらいの人気を得ることが十分に考えられます。
そうしたポテンシャルのあるコンテンツを使ったゲームと、不動産・インフラのシナジーが期待される事業でございますので、今回出資を決定させていただいています。こちらについても、また進捗については説明させていただきたいと思います。
自社株買い
当社は本日(2019年7月11日)、自社株買いを決定させていただいています。取得金額については30億円、期間については7月12日から10月11日の3ヶ月間でございます。
2017、2018年と30億円ずつ自社株買いをさせていただきましたが、私どもにとって残念なことに、株価はまだ割安だと思っています。今回、長期ビジョンでもお伝えしましたが、機動的な自社株買いを謳わせていただいており、今回このタイミングで自社株買いの決定を発表させていただいています。
以上、決算説明を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。