貯蓄に関するアンケートの結果を見てみると、なかなかお金が貯まりにくい実情が見えてきます。

㈱ジェーシービー(JCB)が発表した『キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2019 』によると、「2018年の1年間に増やせた貯蓄額」の1位は、なんと「0円」(40%)なのです。4割もの人が「1年間で全く貯蓄が増えていない」結果となっています。

また、同アンケートで新年度(4月から)の目標の1位も「貯蓄」(38%)という結果になっていることから、多くの人が希望しつつも、なかなか思うように貯められていない実情がうかがえます。

しかし一方で、400万円程の年収でも、上手に貯金している人がいます。

国税庁によると給与所得者の平均給与は432万円ですので、年収に決して余裕があるとは言えません。それでも貯められる人には、どのような違いがあるのでしょうか。

お金が貯まる体質になるコツとは?

貯金を続けるには、貯金への意識と、不要な出費を減らして収入と支出のバランスを保つことがポイントです。まずは貯金の具体的な目標を描いてみましょう。

[1]貯める目的と無駄遣いを回避するツール

貯める目的は具体的な夢の方が実現しやすくなります。

何となく「老後の生活費かな」と考えるよりも、「2020年はオリンピック期間中にのんびり東京観光」「節目の休暇が取れたらオーストラリアへ」など、具体的なイメージを描いてみてください。行きたい場所や経験したいこと、そのために必要な金額を書き出してみましょう。

目標ができたら計画を守るツールを用意してみます。計画を忘れやすい、通販サイトでつい買い物をしてしまう…そういう瞬間に自分をコントロールするツールです。

ビジネスシーンで目標を管理する場合は手帳を活用する人が多いようです。貯金の場合も携帯の待ち受け画面に観光地の写真を表示させたり、手帳に写真をはさんだり、部屋に絵を飾るなど目標が目に入るようにしてみてはいかがでしょうか。

貯金の目的や優先順位をキープできる環境を用意しましょう。

[2]自分に合う貯金方法で実行する

貯め方としては定番の「先取り貯金」がおすすめです。

給与の天引きが手軽で貯まりやすいのですが、お金が不足してきた時に貯まった分を使ってしまうことはありませんか。生活費がぎりぎりという場合、先取り貯金が根本的に難しい場合もあります。

そういう場合は自分に合う貯め方を探してみましょう。500円玉貯金など、目に見える方法の方が一気に貯めやすくなるケースもあるのです。

自分に合った貯金の方法を探し、目標設定の仕方にも工夫をしてみましょう。

最初は「5万円貯める」を目標にして、クリアできたら次に「10万円貯める」など、少しずつ目標を引き上げていきます。貯めた分をグラフにしてみるとやる気も出そうです。

小さなステップをクリアしながら一歩一歩、成功体験を積み上げていきましょう。貯金も節約も、自分の性格的にできることを探してみるのが最短距離になります。

[3]「損切り」を意識する

「損切り」を意識したことはありますか。

損切りとは、費やした分を切り捨てる行動です。それまでに費やしてきた時間的・金銭的なものが惜しくて止められない…そういう経験はないでしょうか。

せっかくバーゲンに来たのだから服を買わなきゃ。送料無料まであと少しだから、もう少しサイトを巡回して購入しよう。

一方、お金を貯められる人は損切りのタイミングを知っています。金銭的・時間的なロスがあっても早めに手を打ち、自分にとって「ほしいもの」と「必要なもの」を取捨選択する決断をしているのです。

計画外の出費をしていると生活費や貯金のペースも崩れやすくなりますので、場面により損切りを意識してみてはいかがでしょうか。

さいごに

「貯金が苦手」という人の多くは、計画外の出費に左右されがちです。一度ペースが崩れると挫折しやすくなってしまいます。具体的な貯金目標を目指して、もしもに備えてボーナスから一定金額の予備費を確保しておきましょう。貯金を続けるコツは、自分自身の管理方法でもあるのです。

【参考】
『家計調査報告(貯蓄・負債編)―2018年(平成30年)平均結果―(二人以上の世帯)』総務省統計局
『キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2019』JCB
『平成29年分 民間給与実態統計調査』国税庁

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部