5月に入り、暖かな日差しが心地よい季節となりました。年金制度や税金の改定など、私たちの暮らしに関わるお金の話題が気になる時期でもあります。
公的年金を受給しながら生活するシニア世代の方々の中には、年金収入だけでは日々のやりくりが少し厳しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、そうした方々の生活を支えるために、いつもの年金にプラスして受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存知でしょうか。
この記事では、2026年度の年金生活者支援給付金について、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして必要な手続きは何かといった点を、一つひとつ丁寧に解説していきます。ご自身がこの制度の対象となるか、この機会にぜひ確かめてみてください。
1. 年金生活者支援給付金の概要について
年金受給者の生活を支えることを目的に、2019年に年金生活者支援給付金制度が創設されました。
受給要件を満たした対象者には、2カ月に1回、公的年金の支給日にあわせて年金生活者支援給付金が支給されます。
年金生活者支援給付金には3種類があり、受給する基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」にわかれます。
それぞれの所得要件を満たす基礎年金受給者が、この給付金の対象となるということです。
2. 【種類別】年金生活者支援給付金の支給対象となる条件
本章では、気になる「年金生活者支援給付金の支給要件」について深堀していきましょう。
2.1 障害・遺族基礎年金を受給している場合の条件
まず、「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」はそれぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中であることと、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。
このときポイントとなるのが、「所得には障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれない」という点です。
扶養親族などの数に応じて、所得の基準額があがる点も押さえておきましょう。
2.2 老齢基礎年金を受給している場合の条件
一方、老齢年金生活者支援給付金の支給対象は少し異なり、下記の支給要件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下
「老齢年金生活者支援給付金」については、本人の所得以外の要件も加わることに注意しましょう。なお、老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
対象となるのは、「昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方」、「昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方」です。
3. 2026年度における年金生活者支援給付金の給付額
年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価変動率にもとづき決定されます。
2026年度では前年に比べ+3.2%の増額となりました。
3.1 2026年度に受け取れる年金生活者支援給付金の金額
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
老齢年金生活者支援給付金のみ、「基準額」であることに注意が必要です。
実際には「月額5620円」を基準として、「保険料納付済期間や免除期間」に応じて支給額が計算されます。
4. 年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続き
本章では「年金生活者支援給付金の請求手続き」を解説します。
すでに公的年金を受給している人のうち、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が届きます。
4.1 基礎年金を受給中の方の手続きフロー
- 毎年9月の第1営業日から順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されてくる
- 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請が利用できる
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
続いて、年金自体を新規で請求する場合のフローを確認しましょう。
4.2 老齢基礎年金をこれから請求する方の手続きフロー
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
※障害年金生活者支援給付金および遺族年金生活者支援給付金の対象者のうち、基礎年金を初めて新規で請求する方(年金と給付金を同時に請求する方)は、給付金の請求書が自動的に郵送されません。年金の請求手続きとあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きを行う必要があります。
4.3 年金生活者支援給付金の支給日はいつになる?
年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
例えば10月に給付されるのは、8月分・9月分の給付金です。
年金の受取口座と同じ口座に振り込まれますが、通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます。
5. 国民年金と厚生年金の平均受給月額はいくら?
そもそも、今のシニアはどれほどの公的年金を受給しているのでしょうか。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均年金月額を見ていきます。
5.1 国民年金の平均受給額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
5.2 厚生年金の平均受給額(国民年金月額を含む)
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
現役時代の働き方・過ごし方によって受給額が決まるため、個人差が大きくなっています。
6. まとめ
今回は、年金受給者の生活を支援する「年金生活者支援給付金」について、制度の種類や支給の条件、2026年度の給付額、そして手続きの流れを詳しく見てきました。
この給付金は、所得が一定の基準を下回るなど、特定の条件を満たす年金受給者の方々の暮らしを支えるための重要な制度です。
ご自身が対象になる可能性がある方には、日本年金機構から請求書が郵送されますので、届いた際には内容をよく確認し、忘れずに手続きを進めることが大切です。
もし請求書が届かない場合や、ご自身の状況が支給要件に当てはまるかどうかわからない場合は、お近くの年金事務所や市区町村の窓口へ相談してみてはいかがでしょうか。この制度を上手に活用し、少しでもゆとりのあるシニアライフを送るための一助となれば幸いです。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内リーフレット」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
中本 智恵