一方で今は少子化による“売り手市場”のため、「働こうと思ったらいつでも仕事はある」状態であることも理由のひとつでしょう。しかし、いくらでも仕事はあるけれども賃金や業務内容の格差は大きく、「働いていても、いつまで経っても生活が苦しい」という人は少なくありません。

また「どうせ老後は年金なんてもらえないかもしれない」という将来に対する不安を通り越した諦めも多くの若者が持っているように思います。実際に筆者もフリーター時は国民年金保険料を支払わず、保険料免除手続きを行って納付を猶予してもらっていました。筆者の周囲のフリーターの中には、こうした手続きを行わず年金保険料をずっと支払っていない人も多くいました。

「本当にお金に困ったら体を売れば」と言われた

筆者が「就職しない」と決めて定職に就かなかったことの最たる理由は、夢を追ったり会社に縛られない生き方を選択することの表面的な部分しか見えていなかったからです。貧乏生活をしながらも夢を追う若い女の子の姿がテレビコンテンツとして消費されるほど、その生き方は世間的に肯定されていると思い込んでいた節があったと思います。

しかし、“夢を追うために貧乏をすること”が美談とされるのは、その経験を経て成功した人が自身の過去を振り返った時だけであることを筆者は理解していませんでした。